米議会予算局、2021年成長率4.6%と予測、年半ばに新型コロナ前水準回復を見込む
(米国)
ニューヨーク発
2021年02月05日
米国議会予算局(CBO)は2月1日に2021~2031年の経済見通しを発表し、2021年の実質成長率を4.6%と予測した(添付資料表参照)。2020年7月時点では4.0%の実質成長率を予測していたが、新型コロナウイルスのワクチン普及や成立したバイデン新政権の経済対策の効果を想定し、上方修正した。ただし、今回の経済予測は1月12日時点の情報を基に作成しており、バイデン政権が発表している1兆9,000億ドル規模の経済対策(2021年1月18日記事参照)については、未成立であるとして数値には反映していない。
1月26日に公表されたIMFの世界経済見通しでは、米国の2021年の実質成長率は5.1%(前回2020年10月の予測では3.1%)となっており、高い成長見通しが相次ぐ。前述した1兆9,000億ドル規模の経済対策など追加の支援策が実現すれば、2021年は経済回復のさらなる加速が期待される。
CBOは今回、2020年半ばに始まった経済の回復基調は、ワクチン接種の拡大などにより、2021年も継続するものと予測。個人消費や設備投資を中心に大きく回復すると見込んでいる実質GDPは、2021年半ばに新型コロナウイルス感染拡大前の水準に回復すると予測している。2022年以降は回復が緩やかになるものの、潜在成長率を上回る成長を2025年まで続けるとみている。
他方、雇用については、失業率は緩やかな回復にとどまり、 3%台後半に達するのは2026年になる見込み。しかし、失業率はその後も高止まりが続き、新型コロナウイルス感染拡大前の水準には戻らないと予想する。また、物価については、個人消費支出デフレーターが連邦準備制度理事会(FRB)の目標とする2%に到達するのは2024年と予想しており、それ以降は金利の上昇も加速していくことを見込んでいる。
今回の経済予測を基に、2月後半をめどに今後の予算見通しが策定される。大規模な経済対策の効果もあり、経済回復を見込む半面、財政赤字は拡大し続けており、今後の収支見込みに注目が集まる。
ハーバード大学のアンナ・スタンズベリー氏は今回のCBO予測について、「労働市場は現実的には、2020年代終わりまで完全雇用に到達しないかもしれないかということだ」「特に、アフリカ系アメリカ人とヒスパニック系労働者の失業率が過度に高くなることを意味する」と述べた(「ニューヨーク・タイムズ」紙電子版2月1日)。
(宮野慶太)
(米国)
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