米USTR、対中追加関税の除外措置を発表、医療関連のみ3月まで適用

(米国、中国)

ニューヨーク発

2021年01月04日

米国通商代表部(USTR)は2020年12月29日、1974年通商法301条に基づき発動済みの対中追加関税について、適用除外を一部延長・追加する措置を官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで公表した。2021年1月以降に追加関税から除外されるのは、新型コロナウイルス対策を目的とした医療関連製品の一部に限られる。

適用除外となるのは、(1)10桁のHTSコードで示された31品目と、(2)USTRが記載した製品詳細に適合する68品目が該当する。USTRは、2020年3月に医療関連製品の除外検討に向けたパブリックコメントを募集しており(2020年3月25日記事参照)、今回の決定に際して、該当品目への関税賦課は不適切で、米国の新型コロナウイルスへの対応力に影響を及ぼす懸念があるため、と説明している。該当品目は、本来、中国からの輸入に課される最大25%の追加関税(注1)が免除される。(2)については、同じ10桁のHTSコードに該当しても、官報に記載の製品詳細に合致しない場合は適用除外とならない。

除外措置を受ける品目の2019年の対中輸入額合計(HTSコード10桁で機械的に試算)は、120億6,159万ドルに相当する。品目別には、90類(医療機器や検査機器等)、39類(プラスチック・同製品)、63類(紡織用繊維製品)が多い。個別品目をみると、外科手術用のボウルや患部保護シートなど(HTS3926.90.9985の一部)(注2)や、マスク(呼吸器付きのものを含む)や湿布など(HTS6307.90.9889の一部)(注3)、MRI・CT・X線検査機器用のデータ入力装置(ディスプレー搭載型)(HTS8537.10.9170の一部)の輸入実績が大きい。適用除外の延長に関しては、70人を超える超党派の連邦下院議員が2020年12月、ロバート・ライトハイザーUSTR代表宛てに、新型コロナウイルス対応や経済への影響などを理由に、その時点で有効だった適用除外品目の全てを12月31日以降も延長するよう求める書簡PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を送っていた。しかし、今回発表された除外品目は医療関連製品に限られているため、USTRが別途、除外の延長や追加を発表しない限り、今回対象外となった製品の適用除外は12月31日をもって終了したままとなる。

今回発表された適用除外の措置は2021年3月31日まで有効となる。手続きについては、税関国境保護局(CBP)が今後発表する。なお、これまでに発表された各リストの品目別適用除外制度の概要と、各リストの適用除外対象品目の発表日および詳細は添付資料を参照。

(注1)追加関税率はリストごとに異なる。今回、適用除外の対象となる品目の内訳は以下のとおり。

  • リスト1(対中輸入額340億ドル相当の818品目、追加関税率:25%):24品目
  • リスト2(対中輸入額160億ドル相当の279品目、追加関税率:25%):10品目
  • リスト3(対中輸入額2,000億ドル相当の5,757品目、追加関税率:25%):35品目
  • リスト4A(対中輸入額1,114億ドル相当の3,243品目、追加関税率:7.5%):30品目

(注2)2020年6月30日まではHTS3926.90.9990、7月1日以降は HTS3926.90.9985に分類。

(注3)2020年7月1日以降は、製品詳細に応じて、HTS6307.90.9845もしくはHTS6307.90.9850、HTS6307.90.9870、HTS6307.90.9875、HTS6307.90.9891のいずれかに分類されている。

(藪恭兵)

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