IMF、2021年の世界の経済成長率を5.5%に上方修正
(世界)
国際経済課
2021年01月27日
IMFは1月26日、「世界経済見通し(英語、日本語)」を発表した。2020年の世界の経済成長率(実質GDP伸び率)をマイナス3.5%、2021年をプラス5.5%、2022年をプラス4.2%とした(添付資料表参照)。前回(2020年10月)の見通しと比較すると、2020年を0.9ポイント上方に、2021年を0.3ポイント上方に修正した(2020年10月14日記事参照)。
2020年の成長率の上方修正の理由については、同年下半期の回復が予想よりも力強かった点を挙げた。また、2021年の成長率の上方修正は、主要国における追加的な政策支援と、新型コロナウイルス・ワクチンの後押しを得て、年後半に景気が上向くとの期待を反映した。先進国・地域では、米国の2021年の成長率を2.0ポイント上方に、また日本の2021年の成長率を0.8ポイント上方に修正した。新興・途上国・地域の中では、インドの2021年の成長率を2.7ポイント上方に修正した。2020年のロックダウン緩和後の予想を上回る力強い回復力が、2021年も持続するとみる。
上記のベースライン予測(基本シナリオ)は、2021年夏には先進国・地域と一部の新興・途上国・地域で、また2022年下半期までには大半の国・地域でもワクチンが利用可能になることなどを前提にした。また、見通しに対する上振れ要因として、ワクチンの製造や流通、治療法の有効性などに関するさらなる好材料がある場合に、パンデミックの早期終息への期待を高め、企業と家計の景況感が改善する点を指摘した。このほかにも、財政政策支援が想定規模を上回り、貿易相手国にプラスの波及効果が及ぶ場合には、世界の経済活動を一層押し上げるとの見方を示した。
他方、下振れリスクとして、変異種を含む新型コロナウイルスの感染拡大防止が困難なことが判明した場合、ワクチンの普及前に感染者と死者が急増する場合、さらに自発的な対人距離の確保やロックダウンが予想よりも強力となる場合を挙げた。また、ワクチン普及の遅延など、医療介入が予測よりも遅れれば、パンデミックから比較的早く脱却できるという期待が損なわれ、景況感の低下につながりかねない点などに言及した。
(朝倉啓介)
(世界)
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