新型コロナが猛威、全国警戒水準を初めて最高レベルに引き上げ
(英国)
ロンドン発
2021年01月06日
英国で新型コロナウイルス感染拡大が止まらない。1日当たりの新規感染者数(報告日ベース)は12月29日から連日5万人を超え、1月5日には6万916人を記録。1日当たりの死者数も12月30日に981人を記録した後、一時は400人台前半まで減少したものの、5日には再び830人に増加した。
こうした中、イングランドと3自治政府の首席医務官と国営医療サービス(NHS)は1月4日、2020年5月に導入した全国対象の「新型コロナウイルス警戒制度」(2020年5月11日記事参照)を最高水準の「レベル5:新型コロナウイルス感染が広範に流行し、伝染が高水準または急激に増加(レベル4)の状態に加え、医療崩壊の重大なリスクが存在」に引き上げるよう、政府に勧告した。レベル5への引き上げ勧告は今回が初めてとなる。
これを受け、イングランドでは翌5日、一部地域でのロックダウンから全域でのロックダウンに移行。12月末まで対象地域を広げてきたイングランドでの規制レベルを最高の「4(自宅待機:Stay at Home)」(2020年12月21日記事、同添付資料参照)から、初等・中等教育機関の遠隔授業への移行、運動のための外出回数の制限など、さらに規制を厳格化した。
スコットランド自治政府も12月26日から、一部島しょ部を除く全域について自治政府の規制レベルを最高の「4」に指定し、生活必需品以外の店舗や飲食店を閉鎖するなど、規制を強化してきたが、1月5日からはレベル4地域で必要不可欠な場合を除き自宅待機を義務付けるなど、さらに規制を強化。ウェールズ、北アイルランド自治政府でも12月下旬から1月初旬にかけ相次いで全域での規制を強化、ほぼ全土で3月のロックダウンと同水準の規制に回帰している。
2種目のワクチン接種を開始
明るい材料もある。NHSは1月4日、オックスフォード大学と英国製薬大手アストラゼネカが共同開発した新型コロナウイルスワクチンの接種を世界で初めて開始。12月8日から投与が始まった米国ファイザーとドイツ・ビオンテック連合のワクチン(2020年12月3日記事参照)に続く2種目の接種を開始した。超低温保存が必要なファイザー・ビオンテックのワクチンと異なり、摂氏2~8度で保存でき、一般的な冷蔵庫で保管可能なことから、早期普及が期待されている。5日までに全国で130万人以上が初回のワクチン接種を受けている。
財務省は1月5日、小売りや飲食、宿泊、観光業を対象とした新たな支援策を発表。店舗などの広さに応じ、1物件当たり最大9,000ポンド(約126万円、1ポンド=約140円)を助成。一方、出口の見えない状況に、経済界からは追加対策が不十分との声も上がっており、既存制度の延長などを含め、政府はさらなる対策に迫られる可能性もある。
(宮崎拓)
(英国)
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