英国・フランス間の物流再開、運転手には陰性証明を義務付け
(英国、フランス)
ロンドン発
2020年12月23日
英国での新型コロナウイルス変異種の感染拡大を受け、フランスが英国からの渡航や有人貨物輸送車両の入国を12月21日午前0時から遮断したことをめぐり(2020年12月21日記事参照)、両国政府は事態打開に向けて同日から22日にかけて断続的に協議。双方は22日夜までに具体策について合意し、フランス政府は23日午前0時(英国時間22日午後11時)に英国からの入国禁止措置を緩和した。
英国からフランスへの入国が許可されるのは、フランスを含む欧州経済領域(EEA)内の国籍保有者のほか、英国を含むEEA外の国籍者については、EEA内国の居住許可証を持つ者や、物流・旅客・漁業関係者、医療・教育関係者などに限定された。これら入国者には、英国出国前72時間以内に新型コロナウイルスの感染検査を受け、フランス入国時に陰性を証明するメールまたはSMSメッセージを提示することが義務付けられた。感染検査はPCR検査のほか、約30分で結果が判明する抗原検査も認められた。現地メディアによると、英国政府はPCR検査しか認められなければ、国内介護施設などでの検査需要を満たせなくなることに危機感を強め、フランス政府に抗原検査を認めるよう強く働きかけていたもようだ。
貨物車両運転手の感染検査には時間が必要
英国・フランス間の物流の大動脈であるドーバー港や英仏海峡トンネルの英国側フォークストン・ターミナルが位置するケント州に滞留するトラックの運転手は、抗原検査受診のため一時的なトラック駐車場に指定されたマンストン空港に向かうよう指示された。高速道路M20の路上で待機するよう指示されたトラックの運転手はその場で検査を受けられる見込み。
入国禁止措置が始まった21日未明、ケント州警察は州内の緊急時交通規制「オペレーション・スタック」を発動。同日夜には、英国のEU離脱(ブレグジット)による移行期間終了後の2021年1月1日以降に必要に応じて発動する計画だった「オペレーション・ブロック」(2020年10月27日記事参照)も発動し、M20沿線やマンストン空港でトラックを待機させていた。
ケント州自治体(群評議会)のロジャー・ゴフ代表がBBCの取材にコメントしたところによると、12月22日午後時点でマンストン空港に2,220台、M20路上に632台、合わせて3,000台近くのトラックが滞留しているもよう。運転手への抗原検査には時間がかかるため、政府は引き続きケント州に立ち入らないよう運送業者に強く要請している。
道路輸送業協会(RHA)は22日、トラック運転手の状況に強い懸念を表明。抗原検査でもサプライチェーンに大きな影響を与える上、検査で陽性と診断された運転手の隔離場所やトラックの扱いなど不透明なことが多過ぎると、政府に対応を求めている。
(宮崎拓)
(英国、フランス)
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