11月の米小売売上高は前月比1.1%減、2カ月連続の減少

(米国)

ニューヨーク発

2020年12月18日

米国商務省の速報(12月16日付)によると、11月の小売売上高(季節調整値)は前月比1.1%減の5,465億ドルとなった(添付資料表参照)。ブルームバーグがまとめた市場予想の0.3%減を超える落ち込みだった。なお、10月の売上高は0.3%増(速報値)(2020年11月24日記事参照)から0.1%減に下方修正されたため、2カ月連続の減少となった。

全米小売業協会(NRF)チーフエコノミストのジャック・クラインヘンズ氏は、新型コロナウイルスの影響で「2020年は消費者が安全かつ早めに買い物を始めることを促すキャンペーンが実施されたことで、消費支出の一部が10月に前倒しされている。これを踏まえると、前月比の減少は驚くべきことではない」とし、「2020年の最終週をみると、前年比で考えれば、月ごとの変動にかかわらず、支出がよく持ちこたえている」と述べた。一方で「ホリデーシーズンの残りの期間は新型コロナウイルスに大きく左右されることを忘れてはならない」と指摘し、感染の再拡大がさらに強まれば、支出は減少する可能性があると警告した(NRFプレスリリース12月16日外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

フードサービス、自動車・同部品、衣料などが押し下げ要因

業種別にみると、フードサービスが前月比4.0%減の532億ドル、寄与度マイナス0.40ポイントと全体を最も押し下げた。次いで、自動車・同部品が1.7%減の1,128億ドル(寄与度マイナス0.35ポイント)、衣料が6.8%減の185億ドル(同マイナス0.24ポイント)で減少に寄与した。一方、食品・飲料は前月比1.6%増の714億ドルと増加幅が大きかった。

また、民間調査会社コンファレンスボードが11月24日に発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした11月の消費者信頼感指数は96.1と、10月(101.4)より5.3ポイント減少した。内訳をみると、現況指数は105.9(10月:106.2)で0.3ポイント減少、6カ月先の景況見通しを示す期待指数は89.5(10月:98.2)で8.7ポイント減少した。

コンファレンスボードの経済指標シニアディレクターのリン・フランコ氏は「消費者の景況認識はこれまで安定していたが、景気の減速を背景に、第4四半期(10~12月)の成長が鈍化することを示唆した」と述べた。また、先行きについて「消費者は2021年にかけて景気や労働市場が上向くことは期待しておらず、新型コロナウイルス感染の再拡大が不確実性をさらに高め、先行きに対する懸念を悪化させている」と指摘した。

(樫葉さくら)

(米国)

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