10月の米小売売上高、6カ月連続で増加も、新型コロナ感染者増加を懸念

(米国)

ニューヨーク発

2020年11月24日

米国商務省の速報(11月17日付)によると、10月の小売売上高(季節調整値)は前月比0.3%増の5,533億ドルと、6カ月連続の増加となった(添付資料表参照)。なお、9月の売上高は1.9%増(速報値)から1.6%増に下方修正された(2020年10月22日記事参照)。

全米小売業協会(NRF)のチーフエコノミストのジャック・クラインヘンズ氏は「この異常な経済状況と過去数週間の新型コロナウイルス感染拡大にもかかわらず、小売売上高が堅調に推移しているのは朗報だ」とし、年末商戦のショッピングを例年より早く行う消費者が増えたことが10月の売上増を支えたと述べた。一方で「新型コロナウイルスの感染者数が増加傾向にあることが依然として消費者心理や支出を圧迫する要因であり、この新たな波を阻止できなければ、支出が減少する可能性がある」と警告した(NRFプレスリリース11月17日外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

無店舗小売り、自動車・同部品、建材・園芸用品などが押し上げ要因

業種別にみると、無店舗小売りが前月比3.1%増の882億ドルと、全体を最も押し上げた。次いで、自動車・同部品が0.4%増の1,149億ドル、建材・園芸用品が0.9%増の381億ドルで増加に寄与した。一方、衣料は前月比4.2%減の194億ドルと減少幅が大きかった。

民間調査会社コンファレンスボードが10月27日に発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした10月の消費者信頼感指数は100.9と、9月(101.3)より0.4ポイント減少した。内訳をみると、現況指数は104.6(9月:98.9)で5.7ポイント上昇、6カ月先の景況見通しを示す期待指数は98.4(9月:102.9)で4.5ポイント減少した。

コンファレンスボードの経済指標シニアディレクターのリン・フランコ氏は「消費者の現状評価は改善したが、短期的な雇用見通しの軟化で期待(指数)は低下した」と述べ、「新型コロナウイルスの感染者数は上昇傾向にあり、失業率が依然高いことから、年内の残り数カ月で景気が勢いを増すと消費者が期待している兆しはほとんどない」と指摘した。

(樫葉さくら)

(米国)

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