GM、排ガス規制でバイデン米次期政権支持を表明

(米国)

ニューヨーク発

2020年11月25日

ゼネラルモーターズ(GM)のメアリー・バーラ会長兼最高経営責任者(CEO)は11月23日、シエラ・クラブやエンバイロメント・アメリカなど米国の主要な11の環境保護団体に宛てた書簡外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの中で、次期大統領就任が確実なジョー・バイデン氏が掲げる環境政策や電気自動車(EV)の普及推進に賛同すると表明した。

GMは2019年10月、カリフォルニア州が独自の温室効果ガス(GHG)や燃費基準などを設定することを禁じた連邦政府の措置をめぐって、カリフォルニア州と22州が連邦政府を相手に起こした訴訟に対し、トヨタやフィアットクライスラー・オートモービルズなどとともに、連邦政府を支持するかたちでの参加を表明していた(2019年11月7日記事参照)。今回のGMの発表はトランプ政権への支持を翻すかたちとなった。

書簡の中でバーラ氏は、自動車からGHG排出量の大幅な削減を提唱するバイデン次期大統領の環境政策(2020年11月10日記事参照)に全面的に賛同すると言及。GMと次期政権、カリフォルニア州の間でEVの普及に向けた目標は一致しているとし、全米で統一した基準の制定に向けて一致団結する姿勢を示した。書簡の提出に先駆けてバーラ氏は11月16日、企業の代表者らや組合幹部とともに、経済再建などに関する次期大統領との意見交換に参加していた(2020年11月17日記事参照)。

バーラ氏はまた、GMが2025年までに世界展開を予定する30のEV車両のうち、3分の2を米国で販売することや、投資額ではガソリン車を上回る270億ドルをEVや自動走行車の開発、生産などに充てることにも言及した。さらに、デトロイト市の旧ハムトラミック工場を刷新したEV専用工場であるファクトリー・ゼロや、テネシー州のスプリングヒル工場でのEV生産を通じ、数千人分の新たな雇用を創出することにも触れ、EV化の推進により100万人の雇用増を目指すバイデン氏の方針とも歩調を合わせた。

GMの発表に対し、カリフォルニア州大気資源局(CARB)のメアリー・ニコルズ局長は、GMの歩み寄りを良いニュースだと歓迎した(「ワシントン・ポスト」紙電子版11月23日)。バイデン氏は「GMの決断で、トランプ政権がいかに近視眼的に米国の創造力を損ない、気候変動の脅威に対し米国を弱体化させているかが浮き彫りとなった」と述べた(abcニュース11月23日)。

(大原典子)

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