イングランド全域で再びロックダウン、11月5日から4週間
(英国)
ロンドン発
2020年11月02日
英国の新型コロナウイルス感染症の再拡大をめぐり、ボリス・ジョンソン首相は10月31日夕の記者会見で、イングランド全域で外出規制や店舗閉鎖などの強力なロックダウンを導入する考えを明らかにした。11月4日の議会審議と採決を経て、11月5日から12月2日までの4週間、実施する計画。主な規制の内容は、添付資料のとおり。
イングランドでは、10月14日に地域ごとに異なる規制を導入する3段階から成る警戒システムを導入したばかり(2020年10月13日記事参照)。感染を低水準に抑え込んでいる地域の社会経済活動にも打撃を与えることを避けるための措置だったが、感染はその後も大半の地域で拡大。医療機関への負荷も日増しに高まっており(英政府参考資料)、地域ごとの対応では感染拡大に歯止めをかけるのは困難と判断した。
イングランド以外では、北アイルランド自治政府が10月16日から4週間、ウェールズ自治政府が10月23日から11月9日まで、全土を対象に独自のロックダウンを施行している(2020年10月16日記事、2020年10月21日記事参照)。他方、10月上旬に新たな行動規制(2020年10月13日記事参照)を施行していたスコットランド自治政府は、レべル0~4の5段階から成る新警戒制度を11月2日午前6時から導入。他の地域が相次いで全土のロックダウンに踏み切る中、同自治政府の二コラ・スタージョン首相は10月31日、予定どおり11月2日から新警戒システムに移行すると明言。その上で、今後必要となればレベル4(最高レベル)への移行を含め、さらに強力な規制を導入する可能性も示唆している。
雇用支援スキームを土壇場で延長
ジョンソン首相は10月31日、イングランド全土のロックダウンの発表に合わせて、同日に終了する予定だった一時帰休従業員の給与給付制度(CJRS)を12月まで延長することを発表した。全休または時短労働で一時帰休となる従業員の未就労時間部分の基本給について、政府が月2,500ポンド(約33万7,500円、1ポンド=約135円)を上限に給与の80%を給付(注)。雇用主は就労部分の給与全額と、未就労部分の国民保険と年金企業負担部分を負担する。政府は8月以降、CJRSの政府負担割合を段階的に削減しており、10月の政府負担割合は上限月1,875ポンド、給与の60%となっていた。11月からの延長部分の政府支給は8月時点と同じで、10月より支援が拡大することになる。当初11月1日に導入する予定だったCJRSの後継制度(Job Support Scheme, JSS)は、CJRS延長が終了次第、導入する。
(注)英国政府による企業・雇用関連支援制度の概要は、ジェトロが作成した「英国政府の企業・雇用関連支援制度の一覧」から閲覧可能。
(宮崎拓)
(英国)
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