イングランドで新警戒制度を導入、リバプール都市圏が最高レベルに
(英国)
ロンドン発
2020年10月13日
英国で新型コロナウイルスの感染再拡大が勢いを増している。1日当たりの新規感染者は10月7日に1万6,877人と過去最高を記録した。8月下旬には700人台まで減少していた新型コロナウイルスによる入院患者数は10月8日時点で3,837人に、9月中旬まで1桁の日も多かった1日当たりの死者数も10月9日に87人まで増加している。
こうした事態を受け、英国政府は10月12日、イングランドで新たな警戒制度を導入することを発表した。行政地域単位で3段階の感染レベルのいずれかに分類し、レベルに応じた規制を適用する。レベル分けは、中(Medium)、高(High)、最高(Very High)の3段階で、最高レベルではバーなどの営業停止措置が取られるほか、地域単位でさらに強力な措置を適用する(添付資料表1参照)。
一方、小売店や学校などの閉鎖は、どの段階でも実施しない。新制度の適用は14日午前0時1分からで、リバプール都市圏が最高レベルの適用を受けることも発表された。同レベル適用地域は、4週間ごとに解除の是非を判断する。
新制度の導入は、地域限定の規制(ローカル・ロックダウン)が拡大する中で複雑になり過ぎた規制を分かりやすく平準化する意図もある。他方、第1波の時のようにイングランド全域で強力な規制を導入すれば、社会・経済面での打撃が大きいため、地域単位の封じ込めと規制の平準化のバランスを取った格好だ。
スコットランドはさらに強力な措置を導入
イングランドに先立ち、スコットランド自治政府も10月7日、新たな行動規制を発表。酒類販売免許を持つ飲食店に対する規制を9日午後6時から、その他の規制を10日午前0時1分から適用した(添付資料表2参照)。
スコットランドの首都エディンバラや最大都市グラスゴーがあり、人口が集中するセントラルベルト地域では、酒類を提供する飲食店の店内営業を禁止、酒類を提供しない飲食店でも営業は午前6時から午後6時までの12時間に制限するなど、強力な措置を施行。その他の地域でも、午前6時から午後6時までの飲食店の営業時間規制(ただし屋外では午後10時まで可)を敷くなど、イングランドの最高レベルよりも厳しい措置となっている。スコットランド自治政府は第1波の時も、他の地域ではなかった、製造業など店舗以外の事業者への閉鎖勧告などを独自に発していた経緯がある。
(宮崎拓)
(英国)
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