英政府、グレートブリテン島とEU間の国境運用モデル更新

(英国、EU)

ロンドン発

2020年10月15日

英国政府は10月8日、EU離脱の移行期間終了後のグレートブリテン島(GB)とEU間の輸出入手続きに関する国境運用モデルの改訂版外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公表した。政府はこれに先立つ6月12日、移行期間終了後の2021年1月1日から半年にわたり、GBとEU間の輸出入手続きを簡素化する緩和措置を発表(2020年6月16日記事参照)。7月13日には同措置の具体的な内容などを記した国境運用モデルを公表していた。今回これを改訂し、GB・EU間の輸出入手続きに関する詳細説明に加え、貨物検査インフラの整備計画や運送業者の出入国管理などを解説。これらは、EUと英国の将来関係協議の結果に関係なく適用される。主な更新内容の概要は以下のとおり。

  • 港湾地区で貨物検査など国境管理のためのインフラ設置に十分な敷地が確保できない場合に内陸部に確保する国境管理インフラの設置場所を示し、貨物検査に必要となる追加処理能力を確立(添付資料図参照)。イングランド南東部のセビントン(アシュフォード)は、ドーバーと英仏海峡トンネルで混乱が発生した際に、一時的なトラックの交通管理施設として、2021年1月1日から使用する方針。
  • 英国への入国時にこれまで身分証明に関する渡航文書として認められていたEUのIDカード(注)の利用が不可に。運送業者を含み、2021年10月からはパスポートの提示が必要になる。
  • イングランド南東部ケント州の英仏海峡トンネルを使用する貨物車両は「ケントアクセス許可証」が必須に。同許可証は、オンライン上のシステム「貨物車両の確認」の利用より、運送業者は容易に許可証取得のための正しい通関書類がそろっているかを確認できる。

このほかにも、輸入税関申告猶予および申告者記録の登録(EIDR)要件に関する詳細や、通関業者など仲介業者の負う責務に関する詳細、関税、物品税、輸入VATなどの納税繰延アカウントの要件に関する具体的内容、2021年7月に衛生植物検疫の対象商品に適用される検査水準のレベルの詳細などについて更新した。今後も政府は同モデルを継続的に更新するとしている。

(注)EUに加え、スイス、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタインが対象。

(宮口祐貴)

(英国、EU)

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