欧州委、米ジョンソン・エンド・ジョンソンと3件目のワクチン事前購入合意、治療薬確保も
(EU)
ブリュッセル発
2020年10月09日
欧州委員会は10月8日、米国製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソンの子会社でベルギーに本社を置くヤンセンファーマと、新型コロナウイルス対策ワクチンの事前購入について合意したと発表した。今回の合意によると、同社が開発中のワクチンの安全性と新型コロナウイルスに対する有効性が承認されることを条件に、EU加盟国は2億回分のワクチンを購入することができ、さらに2億回分の追加購入も可能となる。
なお、ジョンソン・エンド・ジョンソンは9月23日に、開発中のワクチンの第I/II a相臨床試験の中間結果が良好だったことを受け、3大陸で最大6万人のボランティアを対象とした第III相臨床試験を開始すると発表している。
欧州委、ワクチンや治療薬の確保をさらに加速、国際支援も
欧州委は6月に発表したワクチン戦略に基づき、加盟国へのワクチン供給の確保を加速させている。今回の事前購入合意は、8月14日の英国アストラゼネカとの合意(2020年8月18日記事参照)、9月18日のフランスのサノフィと英国グラクソ・スミスクライン(GSK)による共同開発事業との合意に続き、3件目となる。このほかにも、欧州委はキュアバック(本社:ドイツ)、モデルナ(本社:米国)、バイオンテック(本社:ドイツ)とファイザー(本社:米国)による共同開発事業といった、米国や欧州の製薬大手と事前購入合意に向けた協議を進めている。
新型コロナウイルスの治療薬に関しても、欧州委は加盟国のほか、ノルウェー、アイスランド、英国、EU加盟候補国および潜在的加盟候補国〔アルバニア、北マケドニア(旧マケドニア)、モンテネグロ、セルビア、コソボ、ボスニア・ヘルツェゴビナ〕と共同公共調達枠組みを通して、その購入を進めている。新型コロナウイルスの治療薬として現在EUが承認しているのは、7月に条件付き承認となった米国のバイオ製薬大手ギリアドの抗ウイルス薬「レムデジビル」のみだが、欧州委は同社との7月の購入合意に続き、10月8日にも追加の購入合意を締結したと発表した。
さらに、欧州委は途上国へのワクチン供給の支援にも積極的な姿勢をアピールしており、5月4日に新型コロナウイルス・グローバル対応サミットを主催するとともに、世界中で必要とする全ての人に安価なワクチンの提供を目指す「COVAXファシリティー」への支援として、4億ユーロの資金保証をすることも発表している。今回の事前購入合意でも、加盟国は購入割り当ての未利用分を中低所得国に寄付できるとしている。
(吉沼啓介)
(EU)
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