米政府、新疆ウイグル自治区からの輸入の一部に保留命令
(米国、中国)
ニューヨーク発
2020年09月25日
米国土安全保障省(DHS)は9月14日、中国の新疆ウイグル自治区で強制労働を行っている疑いのある中国の5拠点からの輸入を留保すると発表した。具体的にはDHS傘下の米税関国境保護局(CBP)が同日付で違反商品保留命令(WRO)を発出するかたちを取った。
WROは、強制労働によるとの疑いのある商品の輸入を米国の全ての税関地点(ports of entry)で留保する措置となる(注)。DHSは今回指定した5拠点の商品について、「中国政府がウイグル族やその他の宗教的少数民族に対して組織的な人権侵害に関与している新疆ウイグル自治区での強制労働により生産されたもの」としている。ケン・クチネリDHS副長官代行は「トランプ大統領と当省は常に米国の労働者とビジネスを最優先に置き、米国民がこれらのひどい人権侵害に加担することから守っていく」との声明を出している。具体的に対象となる新疆ウイグル自治区内の拠点と製品は次のとおり。
- ロップ郡・第4職業訓練センターで生産された全ての製品
- ロップ郡・髪製品工業団地で生産された髪製品
- 伊犁卓万服飾製造有限公司(Yili Zhuowan Garment Manufacturing)と保定市緑葉碩子島商貿有限公司(Baoding LYSZD Trade and Business)で生産されたアパレル製品
- 新疆准噶爾棉麻有限公司(Xinjiang Junggar Cotton and Linen)で生産・加工された綿製品
- 合肥宝竜達資訊技術有限公司(Hefei Bitland Information Technology)で生産されたコンピュータ部品(同社のみ拠点は安徽省)
トランプ政権は2019年来、同自治区での人権侵害に加担している疑いのある中国企業などを輸出管理規則上のエンティティー・リストに加えるとともに、2020年7月には省庁横断で同自治区が関係するサプライチェーンが強制労働を伴うものかを精査する諮問機関を立ち上げ、米産業界にも勧告している(2020年7月9日記事参照)。
(注)これまでに発表されたWROはCBPのウェブページで確認できる。
(磯部真一)
(米国、中国)
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