欧州委、入国制限に関するEU加盟国に共通の基準提案
(EU)
ブリュッセル発
2020年09月07日
欧州委員会は9月4日、新型コロナウイルス対策としてEU加盟国が入国制限措置を導入する場合に採用すべき共通の基準を提案した。同提案はEU理事会(閣僚理事会)に勧告(Recommendation)の採択を求めるもので、今後EU理事会で検討される。
加盟国ごとに異なる入国制限措置に危機感
背景には、加盟国がコロナ対策としてEU域外からの入国だけでなく、域内の移動に関しても異なる基準に基づき制限を導入していることがある。中でも、ハンガリーは9月1日から永住権または長期居住資格を有する者を除き、外国籍者の入国を原則禁止する措置を導入(2020年9月1日記事参照)。域内の人の自由移動を保障するEUの基本原則との整合性が問題視されていた。
欧州委の提案は以下4つの要素から構成されている。
1.加盟国が入国制限の導入を判断する際の共通の基準
考慮すべき基準として、当該国・地域における(1)14日間の10万人当たりの新型コロナウイルス新規感染者数の合計、(2)7日間に実施された検査結果での陽性反応の割合、(3)7日間に実施された10万人当たりの検査実施数の3点を挙げた。加盟国は他の加盟国の同基準値(1)が50人未満、または(2)が3%未満の場合、原則として当該加盟国に対し入国制限を課すべきではないとした。
2.国・地域の感染状況を示す色別コードの共通化
上記1.の3基準に基づいて設定した閾値(いきち)に応じて、欧州疾病予防管理センター(ECDC)が欧州各国・地域の感染状況を「緑」「オレンジ」「赤」に色分けすることを提案した。「赤」地域は、上記(1)が50人以上、かつ(2)が3%以上、もしくは上記(1)が150人以上と定義した。基準値が得られない、もしくは10万人当たりの検査実施数が250件未満の地域は別途「グレー」と色分けしている。他方、ECDCは現在、14日間での10万人当たりの新規感染者数に基づき5段階(0人、20人未満、20人以上60人未満、60人以上120人未満、120人以上)に色分けした地図を公表している。
3.リスクの高い地域からの入国者に求める対応の共通化
「赤」または「グレー」地域からの入国者に対しては、14日間の検疫または入国後の感染検査実施を求めることができるとし、後者(検査実施)をより望ましい選択肢とした。
4.情報公開の透明性と迅速性
加盟国は最新の情報を毎週公開し、最新情報はEUウェブサイト上のプラットフォーム「Re-open EU」やECDCウェブサイトとも連動することを求めた。また、措置に変更を加える場合は実施の1週間前の通知を求めた。
(安田啓)
(EU)
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