米商務省、人権保護の観点で監視システムなどの輸出管理に関するパブコメを募集
(米国、中国)
ニューヨーク発
2020年07月20日
米商務省の産業・安全保障局(BIS)は7月17日、輸出管理規則(EAR)上で人権保護を目的に「犯罪防止(CC)規制」に指定している製品(物品・ソフトウエア・技術)の見直しを行うため、パブリックコメントを募集すると官報で公表した。
顔認証技術などを新たな規制品目候補に列挙
BISはEARの規制品目リスト(CCL)で目的ごとに、米国外に輸出・再輸出などされた場合に米国の国益などに反するリスクがある品目を指定している。CC規制は、監視システムなど人権侵害に転用されるリスクがある製品に関する規制で、官報でもその例として、中国の新疆ウイグル自治区における顔認証技術の導入による少数民族の監視を挙げている。BISによるとCC規制品目の改訂は2008年以来の作業となる。前回改訂以降の技術の進歩に合わせて、規制すべき品目の入れ替えなどを行う趣旨と見られる。
BISは新たにCC規制品目に加える製品の候補として、(1)監視用顔認証用ソフトウエア、その他のバイオメトリック認証システム、(2)非殺傷性の視覚妨害レーザー(ダズラー)、(3)長距離音響装置(LRAD)、その部品、ソフトウエアおよび技術を挙げている。加えて、既にCC規制品目に指定されている警察用ヘルメットや指紋認証機(部品、ソフトウエア、技術を含む)、声紋認証システム(部品、ソフトウエア、技術を含む)などに関してもコメントを求めるとしている。特にBISが求めるコメントの種類としては次の3点が挙げられている。
- 当該製品が純粋に商業用のものであるか、もしくは法執行・治安維持、集団監視、検閲、プライバシーの侵害、その他の人権侵害に用いられるものかを識別する情報
- 当該製品を規制品目に追加、除外または規制内容を変更した場合に、米国が世界において人権を守ることに与える影響
- 規制内容の変更が米国の産業界の競争力に与える影響
BISは2019年以降、新疆ウイグル自治区での人権侵害を理由に、中国の自治体公安当局や監視カメラや顔認証技術を持つ中国民間企業をEAR上のエンティティリストに加えるとともに、7月1日には同自治区での人権侵害状況を精査する諮問機関を立ち上げている(2020年7月9日記事参照)。今回の動きも、同自治区での人権侵害に対するトランプ政権内での関心の高まりを受けたものと見られる。
コメントは9月15日まで、連邦のポータルサイト(ドケット番号BIS-2020-0021)を通じてオンラインか、次の住所まで郵送で提出が可能となっている(その場合、識別番号としてRIN 0694-XC056を付記すること)。
コメント送付先は、以下のとおり。
Regulatory Policy Division, Bureau of Industry and Security,
U.S. Department of Commerce, Room 2099B,
14th Street and Pennsylvania Avenue NW, Washington, DC 20230
(磯部真一)
(米国、中国)
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