アゼベドWTO事務局長の後任選出に向け、8人の候補者出そろう
(世界)
国際経済課
2020年07月09日
WTOのアゼベド事務局長が8月末に退任する(2020年5月15日記事参照)のに伴い、次期事務局長候補の公募が1カ月間行われ、7月8日の締め切りまでに8人が立候補した(添付資料表1参照)。英国のリアム・フォックス氏を除き全てが途上国出身者(注)が占め、かつ、アフリカの候補が多いのが特徴だ。アフリカが候補を絞り切れないのは前回の事務局長選でも問題点として指摘されていた。そのうち、ケニアのアミナ・モハメド氏は前回も立候補し、1次選考で落選した。なお、米国と中国は今回も含めこれまで1度も候補者を擁立していない。
加盟国は今後、選出プロセスに入るが、通常は2003年に一般理事会が公表した文書に基づく手続きが進む。この文書によると、候補者は3カ月程度、加盟国に自身をアピールする必要がある。その後、3人の選考委員(「トロイカ体制」と呼ばれる。添付資料表2参照)の調整の下、加盟国代表団による3度の非公開協議を行い、最終的に全加盟国のコンセンサスで事務局長が決定する。しかし今回は、この選考プロセスをアゼベド氏が退任する8月末までの1カ月半で終了させなければならない。候補者はまず7月15日に始まる一般理事会でWTOに対する自身のビジョンを講演し、加盟国からの質問に対応する。加盟国は候補者の遊説活動を経て本人の適正に照らして選考の意向を固めるが、実際には候補者の出身地域や通商政策へのスタンスといった政治的な要素が影響すると言われる。
通常より選考の期間が短いことから、9月1日までに事務局長を選出するのは困難だとの観測もある。仮に8月中に決まらない場合、4人いる事務次長のうちの1人が臨時代行を務めることとなる。
(注)韓国はWTOでは現在のところ、「特別かつ異なる待遇」(S&D)を享受する途上国の扱い。ただし、韓国政府は2019年10月、今後の立法交渉では途上国としての地位を放棄することを宣言した。
(吾郷伊都子)
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