6月の米失業率、11.1%と前月より低下するも、回復のペースに不安も

(米国)

ニューヨーク発

2020年07月03日

米国労働省が7月2日に発表した6月の失業率は11.1%(添付資料図、表1参照)と、市場予想(12.5%)を下回った。失業者数が323万5,000人減少した一方で、就業者数が前月から494万人増加した結果、失業率は前月(13.3%:2020年6月9日記事参照)から2.2ポイント低下した。

失業者のうち、恒常的な失業者数は前月(229万5,000人)より58万8,000人増加して288万3,000人となった。一時解雇を理由とする失業者数は前月(1,534万3,000人)より477万8,000人減少して1,056万5,000人となった。労働省のウィリアム・ビーチ労働統計局長は声明文外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで「6月の失業率の低下は、主として一時解雇されていた人(による職場復帰)の中で生じた」と指摘した。

労働参加率(注)は、働く意思のない非労働力人口が前月から154万7,000人減少し、就業者数と失業者数の合計値である労働力人口が前月から170万5,000人増加した結果、前月(60.8%)から0.7ポイント上昇し、61.5%となった。

こうした中、平均時給は29.37ドル(5月:29.72ドル)と、前月比1.2%減(1.0%減)、前年同月比5.0%増(6.6%増)となった(添付資料表1参照)。

6月の非農業部門の雇用者数の前月差は480万人増と、市場予想(306万人増)を上回るとともに、前月(269万9,000人増)より増加幅が拡大した。5月から6月への雇用増減の内訳をみると、財部門が50万4,000人増で、うち製造業全体は35万6,000人増となり、輸送用機器(19万3,100人増)、プラスチック・ゴム製品(2万1,800人増)などで増加した。サービス部門は426万3,000人増となり、娯楽・接客業(208万8,000人増)、教育・医療サービス業(56万8,000人増)、小売業(73万9,800人増)などを中心に、幅広い業種で増加した(添付資料表2参照)。全体の増加幅の約4割(43.5%)を占める娯楽・接客業は、飲食サービス業(148万3,400人増)を中心に増加した。

労働省はプレスリリースPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で、6月の失業率や雇用増の改善は「3~4月に抑制されていた経済活動の再開が続いたことを反映」しているものの、依然として「2月と比較して、雇用者数が1,470万人、9.6%少なく、失業率が7.6ポイント、失業者数が1,200万人多い」と指摘した。テネシー大学の労働経済学者マリアンヌ・ワナメーカー氏は「緩やかな回復の開始点」にいるにすぎず、今後「新型コロナウイルスを制御できるようにならなければ、回復(ペース)は失速するだろう」と指摘した(「ウォールストリート・ジャーナル」紙電子版7月2日)。

(注)労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に占める労働力人口(就業者+失業者)の割合。

(権田直)

(米国)

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