5月の米失業率は13.3%と前月より低下、雇用者数は前月から251万人増

(米国)

ニューヨーク発

2020年06月09日

米国労働省が6月5日に発表した2020年5月の失業率は13.3%外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(添付資料図、表1参照)で、市場予想(19.1%)を下回った。失業者数が前月から209万3,000人減少した一方で、就業者数が383万9,000人増加した結果、失業率は戦後最高を記録した前月(14.7%:2020年5月13日記事参照)より1.4ポイント低下した。人種別では、白人(12.4%)が前月(14.2%)から1.8ポイント低下した一方で、黒人・アフリカ系(16.8%)とアジア系(15.0%)がそれぞれ前月(16.7%、14.5%)から0.1、0.5ポイントずつ上昇した。

失業者のうち、一時解雇を理由とする失業者数は前月(1,806万3,000人)より272万人減少して1,534万3,000人となった一方で、一時解雇を理由としない失業者数は前月(256万3,000人)より38万5,000万人増加して294万8,000人となった。労働省のウィリアム・ビーチ労働統計局長は、声明文外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで「新型コロナウイルス関連の事業閉鎖により仕事を休んでいた従業員は、(本来は)一時解雇による失業者に分類されるべきだが、必ずしも全てがそのようには記録されていなかった」可能性があり、正しく記録されていれば、失業率は「公表値より3ポイント程度高かったかもしれない」と指摘した。

こうした中、平均時給は29.75ドル(4月:30.04ドル)と、前月比1.0%減(4.7%増)、前年同月比6.7%増(8.0%増)となった。労働省はプレスリリースPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で、今回の減少は「主に低賃金労働者の雇用が増えたこと(によって平均賃金が押し下げられた効果)を反映している」と指摘した。

5月の非農業部門の雇用者数の前月差は250万9,000人増と、市場予想(750万人減)を大きく上回った。4月から5月への雇用増減の内訳をみると、財部門が66万9,000人増で、うち製造業全体は22万5,000人増となり、特にプラスチック・ゴム製品(2万9,800人増)、輸送用機器(2万6,000人増)などで増加した。サービス部門は242万5,000人増となり、娯楽・接客業(123万9,000人増)、教育・医療サービス業(42万4,000人増)、小売業(36万8,000人増)などを中心に、幅広い業種で増加した(添付資料表2参照)。全体の増加幅の約5割を占める娯楽・接客業は、飲食サービス業(137万600人増)を中心に増加した。労働省はプレスリリースPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で、「3~4月に抑制されていた経済活動が限定的に再開したことが反映され、娯楽・接客業、建設業、教育・医療サービス業・小売業の雇用が急増した」と指摘した。

求人情報サイト、インディードのエコノミストであるニック・バンカー氏は「新型コロナウイルス(の感染拡大)によって最も被害を受けた業種(の雇用者数)が、最も大きく回復」しており、「ここ1カ月の結果であり、あまり興奮し過ぎない方がよい」と指摘した(「ブルームバーグ」6月5日)。

(権田直)

(米国)

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