4月の米失業率は14.7%と戦後最高を記録、雇用者数は前月から2,050万人減
(米国)
ニューヨーク発
2020年05月13日
米国労働省が5月8日に発表した2020年4月の失業率は14.7%(添付資料の図、表1参照)と、市場予想(16.0%)を下回ったものの、大幅な悪化となった。就業者数が前月から2,236万9,000人減少した一方で、失業者数が1,593万8,000人増加した結果、失業率は前月(4.4%:2020年4月6日記事参照)より10.3ポイント上昇した。1982年12月に記録した10.8%を上回り、統計開始(1948年)以来の最高水準となった。
労働参加率(注1)は、就業者数と失業者数の合計値である労働力人口が前月から643万2,000人減少した一方で、働く意思のない非労働力人口が前月から657万人増加した結果、前月(62.7%)から2.5ポイント低下し、60.2%となった。1973年1月(60.0%)以来の低水準だ。
広義の失業率(U6、注2)をみると、前月(8.7%)から14.1ポイント上昇して22.8%となった。2010年4月(17.2%)に記録した最高値を上回り、統計開始(1994年)以来の最高水準になった。
こうした中、平均時給は30.01ドル(3月:28.67ドル)と、前月比4.7%増(0.5%増)、前年同月比7.9%増(3.3%増)と前月に続いて増加した。労働省はプレスリリースで、今回の増加は「主に低賃金労働者の雇用が大幅に失われたこと(によって平均賃金が押し上げられた効果)を反映している」と指摘した。
4月の非農業部門の雇用者数の前月差は2,050万人減と、市場予想(2,150万人減)の減少幅を下回ったものの、前月(87万人減)から大幅に悪化し、統計開始(1939年)以来の減少幅を記録した。3月から4月への雇用増減の内訳をみると、財部門が235万5,000人減で、うち製造業全体は133万人減となり、輸送用機器(42万1,300人減)、金属製品(10万8,700人減)、食品製造業(8万6,300人減)などで減少した。サービス部門は1,716万5,000人減となり、娯楽・接客業(765万3,000人減)、教育・医療サービス業(254万4,000人減)、対事業所サービス(212万8,000人減)などを中心に、幅広い業種で減少した(添付資料の表2参照)。全体の減少幅の約4割を占める娯楽・接客業は、飲食サービス業(549万1,300人減)や遊園地・賭博・レクリエーション(106万2,000人減)などで減少した。労働省はプレスリリースで、「新型コロナウイルスの世界的流行とそれを封じ込めるための努力を反映」しており、「全ての主要業種で急激な減少がみられ、特に娯楽・接客業が大幅に減少した」と指摘した。
ムーディーズ・アナリティクスの金融政策調査責任者ライアン・スイート氏は「壊滅的(な結果)で、回復には数年かかるだろう」と述べた。特に、失われた雇用は「一時的なレイオフとなっている場合が多く、経済が再開し始めることによって、すぐに仕事に戻ることができると期待されるが、そのことが保証されているわけではない」と指摘した(「ブルームバーグ」5月8日)。
(注1)労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に占める労働力人口(就業者+失業者)の割合。
(注2)適当な仕事がみつからずに職探しを断念した者や、不本意ながらパートタイム労働に従事する者(経済的理由によるパートタイム就業者)などを含む。
(権田直)
(米国)
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