2027年末までに5G通信網からファーウェイを排除
(英国、中国、米国)
欧州ロシアCIS課
2020年07月21日
英国政府は7月14日、2027年末までに英国の第5世代移動通信システム(5G)通信網向け設備から、中国の通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)の製品を排除することを発表した。これに先立ち、2021年以降、同社からの5G関連製品の調達は全面的に禁止される。
政府は2020年1月、重要インフラ以外の一部の通信網へのファーウェイ参入を認める方針だったが(2020年1月30日記事参照)、5月の米国商務省の同社に対する制裁措置(2020年5月19日記事参照)および国家サイバー・セキュリティー・センター(NCSC)からの最新の技術アドバイスを受け、同社の5G機器の使用禁止を決定した。NCSCは、米国の制裁措置の影響で、ファーウェイは、サプライヤーの代替などサプライチェーンを再構築せざるをえない状況であり、結果、同社の5G機器は信頼性を担保しえず、将来にわたってセキュリティーを保証することは不可能だとした。
オリバー・ダウデン デジタル・文化・メディア・スポーツ相は声明で、「ファーウェイに対しての今回の決定は、英国の通信網で5Gの展開が2~3年遅れることとなり、最大20億ポンド(約2,700億円、1ポンド=約135円)の追加コストがかかる。しかし、将来の英国の通信網、また国家安全保障と経済において、正しい決断だ」と述べた。
一方、通信大手ブリティッシュ・テレコム(BT)のフィリップ・ジャンセンCEO(最高経営責任者)は7月13日、BBCラジオで「英国の5G通信網からファーウェイの製品を排除することは、理想的には7年が必要だが、おそらく5年で実現できる。しかし、10年以内にファーウェイの製品を英国の全通信網から取り除くことは不可能だ」と述べていた。
また、英国のシンクタンク、インスティテュート・フォー・ガバメントは7月14日、「今回の決定は、英国の5G通信網からファーウェイの製品を排除するという単純な問題ではない。中国に対する英国の姿勢が大きく変わったことを示し、防衛戦略、貿易、国際関係に影響がある」とコメントした。
(宮口祐貴)
(英国、中国、米国)
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