英国政府、5G通信網へのファーウェイの一部参入を容認
(英国、中国)
ロンドン発
2020年01月30日
英国政府は1月28日、国内の第5世代移動通信システム(5G)通信網や重要インフラの通信網に関する機器調達の方針を発表した。政府は高リスク事業者を指定し、原子力や軍事施設など安全保障に関わる国家重要インフラの通信網や5G通信網などの中核機能に関わる機器調達からは除外する。一方で、それ以外の一般の携帯電話回線などの周辺ネットワークについては、35%を上限に高リスク事業者からの機器調達を認める見通しだ。英国の5G通信網構築をめぐっては、中国の華為技術(ファーウェイ)の参入について、米国のドナルド・トランプ政権が機器調達を認めないよう政府に要請していた。
英国の政権を担う与党・保守党は、2025年までに全国に5G通信網を構築することを公約に掲げている。ファーウェイを高リスク事業者に指定しているものの、重要インフラ以外の一部の通信網への参入は認められる見通しだ。ニッキー・モーガン・デジタル・文化・メディア・スポーツ相は「英国独自の理由による英国独自の解決法」とし、調達先の多様化を進める戦略の一環とした。ドミニク・ラーブ外相も国会で、ファーウェイによるリスクに関して政府が検討してきたことについて演説し、政府が通信インフラの安全保障に関する包括的なスキームの早期の法制化を図り、重要な通信網に機器を提供できる事業者が限られていることを問題視し、新規事業者の参入を促し、サプライチェーンの多様化を促進すると述べた。
ボリス・ジョンソン首相は、政府方針の発表当日の1月28日にトランプ大統領と電話会談し、少数の事業者による市場の寡占状況を打破するため、志を同じくする国々が連帯することの重要性を説明した。一方で、米国のマイク・ポンぺオ国務長官は、同盟国は信頼できる通信ネットワークを持つ必要があると強調し、英国には方針を見直すチャンスがあるとコメントしたと報じられている。
ファーウェイは1月15日には、同社と協業する英国とアイルランドの事業者に、2,000万ポンド(約28億4,000万円、1ポンド=約142円)を投じて支援する方針を発表していた。
(木下裕之)
(英国、中国)
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