IMF、新型コロナの影響拡大を受け、世界経済見通しを下方修正
(世界)
国際経済課
2020年06月25日
IMFは6月24日発表の「世界経済見通し(英語、日本語)」で、2020年の世界経済の成長率(実質GDP伸び率)をマイナス4.9%とし、4月の見通し(2020年4月15日記事参照)から1.9ポイント下方修正をした(添付資料表参照)。新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)のパンデミック(世界的な大流行)が2020年上半期の経済活動に予想以上のマイナスの影響を及ぼしていると指摘。第1四半期(1~3月)のGDPが概して予想よりも悪かった上、第2四半期(4~6月)も経済収縮がさらに深刻になると予測する。下半期の景気回復がより緩やかになる点も織り込んだ。
国・地域別では、先進国の2020年の成長率を1.9ポイント引き下げ、マイナス8.0%と予測した。ロックダウン(都市封鎖)措置以前から自発的な対人距離確保の兆候が見られ、2020年上半期の経済活動が予想以上に深刻な打撃を受けたとの認識を示した。また、新興・途上国の2020年の成長率も2.0ポイント引き下げ、マイナス3.0%とした。国内の混乱に伴う経済活動への打撃の大きさや、外需の低下に伴う波及効果が大きくなったことを反映した。
上記の基本シナリオ(ベースライン予測)では、世界の経済活動は2020年第2四半期に底を打った後に回復し、2021年の成長率は5.4%へと上昇する。しかし、データがまだ完全に出そろっていない2020年第2四半期の経済収縮の深刻さと、さらには負のショックの規模と持続性に見通しは左右されると指摘。パンデミックの推移をめぐる根本的な不確実性が経済見通しを立てる際の重要な要因とした上で、下振れリスクは依然として大きく、感染拡大が再発する可能性にも言及した。2021年初めに感染拡大の第2波が起きる場合、ベースライン予測と比較した世界GDPは約4.9%減少すると試算した。
新型コロナのパンデミック関連以外では、(1)米中間の緊張感が多くの面で高まっていること、(2)OPECと非加盟主要産油国から成る「OPECプラス」内のほころび、(3)社会不安が広がっていることなどが世界経済にさらなる課題をもたらしていると指摘した。
(朝倉啓介)
(世界)
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