英国、EUとの将来関係は6月までの大枠合意を目指す
(英国、EU)
ロンドン発
2020年02月28日
英国政府は2月27日、EUとの通商協定を含む新たなパートナーシップ構築のための交渉方針を発表した。これに従い、包括的な自由貿易協定(CFTA)などの協議を3月第1週から開始する。
この方針は、2月3日にボリス・ジョンソン首相が発表したEUとの交渉に関する声明文(2020年2月5日記事参照)に基づき策定した。CFTAでは、EU・カナダ包括的貿易投資協定(CETA)など既存のFTAと同様に、関税や数量割り当てを導入しないことを目指す。また、原産地規則についても、CETAや日EU経済連携協定(EPA)と類似したものを設けることを目指すとしている。一方で、EUが求める政府補助金や環境・労働規制、税制などに関する「公正な競争条件(レベルプレイングフィールド:LPF)」については、マイケル・ゴーブ・ランカスター公領相が同日の議会演説で「双方が望ましい(規制)水準を維持すべきという条件が協定の成立を妨げることにはならない」と発言し、EUとの規制連動を否定することが交渉の障害にはならないとしている。交渉方針でも英国が法的・政治的な自律性を脅かす取り決めには応じないとしている。また、CFTAと併せて、漁業や刑事問題における法執行・司法協力、交通、エネルギーなどの分野の取り決めについても協議を行う。
政府は今回方針に従ってEUと協議を進め、9月までに最終合意ができるよう、6月を期限に協定の大枠で合意を目指す。6月までにめどが立たない場合には、EUとの協議を切り上げ、移行期間を適切に終えるための国内準備に専念するべきかどうか判断をしなければならなくなるとしている。
こうした交渉方針について、英国産業連盟(CBI)のキャロライン・フェアバーン事務局長は、双方による柔軟な協議が必要だとしており、「EU離脱協定の合意につながった歩み寄りの精神が今後の協議でも求められる」と述べた。また、英国商工会議所(BCC)のアダム・マーシャル事務局長は、実際のビジネスに関わる詳細な取り決めが明確になるかどうかが日々の企業活動に影響するとしており、交渉で産業界に積極的な役割を持たせ、彼らの専門性を生かして良い結果をもたらすべきとした。
(木下裕之)
(英国、EU)
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