米国とフランス、デジタル課税に関わる議論加速で合意
(フランス、米国)
パリ発
2020年01月30日
フランスのブリュノ・ルメール経済・財務相は1月22日、スイスのダボスで開かれていた世界経済フォーラムの年次総会(通称「ダボス会議」)で、デジタル課税に関わる国際課税ルールの策定に向け、フランスと米国が全般的な共通の枠組みについて合意に達したと発表した。
フランスは2019年7月、巨大IT企業が収益を税率の高い国から低い国に集める税逃れの動きに歯止めをかける目的で、年間売上高が2,500万ユーロ以上、かつ世界売上高が7億5,000万ユーロ以上のIT関連企業を対象に、フランス国内における売上高に3%課税するデジタル課税法を施行したが、米トランプ政権は米国企業を差別するものと反発。2019年12月に米国通商代表部(USTR)がフランスに対する報復関税案を発表したことで、両国関係は緊張が続いていた(2019年12月4日記事参照)。
今回の枠組みの主な内容について、ルメール経済・財務相は、(1)フランスがデジタル課税の徴収を2020年12月まで延期する代わりに、(2)米国はその間、報復関税措置の発動を留保し、(3)さらにその間に両国がOECDにおける国際的な解決策、すなわちデジタル課税と法人税の最低税率の導入という2本柱から成る課税ルールの合意に向け、議論を加速することだとした。
ルメール経済・財務相はOECDの協議で国際課税ルールに関する合意が得られない場合は、デジタル課税法に基づいて徴税するとし、デジタル課税についてフランスは米国からの圧力に屈しない姿勢を強調した。
ダボスで応じたテレビ番組「BFMビジネス」のインタビューの中で、ルメール経済・財務相は、デジタル課税の適用を企業の選択に委ねる米国案を一蹴。他方で、国際課税ルールをデジタル課税と、米国が導入に前向きな(多国籍企業による租税回避を防ぐための世界共通の)最低法人税率導入の2本柱にすることで、米国の合意を引き出したい考えだ。また、1月23日のダボス会議のデジタル課税に関するセッションに登壇した際、最低法人税率については12.5%の税率を提案する意向を明らかにした。
(山崎あき)
(フランス、米国)
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