デジタル課税をめぐる米国の報復関税案を受け、強力な対抗措置の意向表明
(フランス、米国)
パリ発
2019年12月04日
米国通商代表部(USTR)が12月2日にフランスのデジタル課税法施行に対する報復関税案を発表した(2019年12月3日記事参照)ことを受け、フランスのブリュノ・ルメール経済・財務相は12月3日、「デジタル課税は税の公平性を回復するためのものであり、米国企業だけでなく、中国や欧州の企業にも適用される」と発言。今回のUSTRの決定を「受け入れられない」として、米国が報復関税措置を実際に導入すれば、EUからも「強力な」対米報復を実施することを欧州委員会に2日に確認したことを明らかにした。
デジタル課税は、ネット広告をカスタマイズするサービスや、ネット上でマーケットプレイスを提供する事業者のうち、年間売上高が2,500万ユーロ以上かつ世界売上高が7億5,000万ユーロ以上の企業を対象に、2019年1月からのフランス国内での売上高に対し3%課税するというもの。
デジタル課税法は7月に施行されたが、政府はOECDが策定を進める国際課税ルールで加盟国の合意が得られれば、同法を即時撤廃する方針を示してきた。フランスはOECDが10月に発表した国際レベルでのデジタル課税に向けた枠組み案を支持、2020年での合意を目指す。USTRの発表を受け、ルメール経済・財務相は「(OECD案に対する)米国の反応を待っている。米国が反対するのであれば、8月のG7首脳会議でなされたコミットメントを尊重しないことになる」と米国を牽制した。
8月にフランス南西部ビアリッツで開催されたG7首脳会議で、マクロン大統領はデジタル課税問題について「米国との間にある困難を脱するための合意に達した」と発言。首脳宣言の中に「国際的な課税法を現代化し、規制上の障壁を簡素化するため、OECDの枠組みで2020年に合意を見いだす」とする項目を盛り込んでいた(2019年8月28日記事参照)。
(山崎あき)
(フランス、米国)
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