3年連続で自動車販売台数減、引き続き電動車が伸びる

(英国)

ロンドン発

2020年01月09日

英国自動車製造販売者協会(SMMT)は1月6日、2019年の新車登録台数を発表した。前年比2.4%減の231万1,140台となり、2016年をピークに3年連続の減少となった。SMMTは要因について、企業や消費者マインドの停滞や、不安定な政治経済、排出制限区域の設定(2019年4月10日記事参照)などによる市場の混乱と分析している。私用車が前年比3.2%減の101万8,258台となったほか、社用車も34.4%減の9万2,095台に落ち込んだ。

燃料種別にみると(表1参照)、ガソリン車は前年比2.2%増とわずかに伸びたものの、ディーゼル車が21.8%の大幅減となった。ディーゼル車を敬遠する消費者の志向や排出制限区域を背景に、ディーゼル車は2017年4月から33カ月連続の販売減となった。一方で、バッテリー車(BEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)、ハイブリッド車(HEV)の販売シェアは合計で7.4%に到達した。HEVは前年比17.1%増の伸びをみせ、依然として電動車市場の大半のシェアを占めるが、BEVが前年の2.4倍と大幅に伸びており、初めてPHEVの販売台数を上回った。環境性能の比較的高いマイルドハイブリッド車(MHEV)の販売台数も大きく伸びており、環境性能の高い自動車への需要が伸び続けている傾向がみえる。

表1 燃料種別新車登録台数

SMMTはBEVの市場シェアが伸びていることを歓迎する一方で、政府の今後10年の環境対応車の導入目標には遠く及ばないとの見解を示しており、購入補助金の対象除外などによるPHEVの販売台数減の状況を鑑みると、市場が成長する前の補助金停止は目標の達成の阻害要因となるとしている。

SMMTによると、2019年の全体的な減少にもかかわらず、英国はドイツに次ぐEUで2番目の販売台数を誇っており、約350種の多様なモデルから消費者は購入する自動車を選択することができるという。2019年の新車登録上位10車種にもフォードやフォルクスワーゲン(VW)、日産などさまざまなメーカーが並ぶ(表2参照)。

表2 新車登録上位10車種(2019年)

2020年にはBEVが23車種、PHEVが11車種を含む90近い新車種が市場に投入される予定としており、英国は購入者に魅力的かつ環境に優しい多くの車種の選択肢を提供しているとしている。

(木下裕之)

(英国)

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