ロンドンに排ガスの「超低排出ゾーン」を設定
(英国)
ロンドン発
2019年04月10日
ロンドン市は4月8日、市内中心部に乗り入れる、一定の排ガス規制を満たしていない車両に対して通行料の支払い義務を課す区域「超低排出ゾーン(ULEZ)」の適用を開始した。24時間365日、市内に乗り入れる乗用車、バス、バイクなどが対象で、2021年10月にはさらに適用区域を拡大する予定だ。
ULEZは、市内の大気汚染を軽減し市民の健康を改善することを目的に導入された。支払い義務が生じるのは、乗用車やバン、小型バスでは、ガソリン車で排ガス規制「ユーロ4」(注)、ディーゼル車で「ユーロ6」に、バイクなどは「ユーロ3」に、ローリーや大型車は「ユーロVI」に、それぞれ満たない車両。一般的には、乗用車では2005年以前に新車登録したガソリン車、2015年9月以前に新車登録したディーゼル車が規制対象となる。ただし、当該年次以前に登録した車であっても、対象の排ガス規制を満たしていれば、支払の必要はない。通行料は、乗用車やバイク、3トン未満のバンなどは1日12.5ポンド(約1,813円、1ポンド=約145円)、3トン以上のローリーや5トン以上のバスは100ポンド。区域内の住人や、障害者用の自動車、タクシー、40年以上前に製造されたクラシックカーなどは適用除外となる。
通行料および罰金の支払いは、ロンドン交通局(TfL)のウェブサイトまたは電話で行う。市内に乗り入れするたびに自動で引き落としをするサービスも年間10ポンドで提供する。金・土・日曜日に通行した場合は、翌月曜日の深夜12時まで、月曜日から木曜日の場合は翌日の午前0時までに支払う必要がある。支払いを怠った場合、罰金の通知が届き、乗用車などは14日以内に支払えば80ポンド、それ以降は160ポンド、ローリーなどは14日以内で500ポンド、それ以降は1,000ポンドの罰金が科される。2021年10月25日以降は、提供区域を南北の環状線まで拡大する。TfLのウェブサイトで対象区域とナンバープレート番号の入力により通行料支払いの要否を確認できる。
英国産業連盟(CBI)のエディー・カーゾン・ロンドン支部局長は「ULEZの導入はロンドンの大気汚染の改善につながる」と歓迎する一方、中小企業が低排出車に切り替えることができない現状も指摘し、ロンドン市からの支援が必要とした。
(注)ユーロ3、4、6、VI規制(2014年6月16日付調査レポート):ガソリン車に窒素酸化物、ディーゼル車に窒素酸化物と粒子状物質の排出上限を定めたもの。数字が大きいほど新しくより厳しい排出規制となる。アラビア数字は乗用車など、ローマ数字はローリーなどを対象とした規制。
(鵜澤聡)
(英国)
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