エチオピアのダム建設、米国が仲介し関係3カ国閣僚が協議
(エチオピア、スーダン、エジプト、米国)
アディスアベバ発
2019年11月15日
エチオピア北西部のグランドルネッサンスダム建設をめぐり、米国が仲介するかたちで、エチオピアとエジプト、スーダンの関係3カ国外相などが米国ワシントンで協議した。トランプ大統領もツイッターでこの問題に触れるなど、関与を明らかにしている。協議を終えた11月6日には3カ国閣僚の共同声明が発表され、ダムの貯水と運用方法の合意に向けて引き続き関与していくことを確認した。
共同声明では、2020年1月15日を期限として合意を目指すとした。今後、水問題担当相を筆頭に4回の技術委員会を開催し、米国と世界銀行もオブザーバーとして参加する。また、関係者はワシントンで12月9日と2020年1月13日に話し合いを持つことも明らかになっている。
ナイル川上流に建設中のこのダムをめぐっては、これまでも関係国の首脳間で信頼醸成に努めてきた(2018年6月15日記事参照)。有識者は水量などは科学的に解決可能な問題との見方で一致するが、ナイル川の水源を死活的利益とみなすエジプトと、水源を流域全体の発展に利用したいとしながらもダム建設と放水量は主権の問題とするエチオピアでは、国民感情にも配慮した対応が迫られることから、政治的な問題ととらえられる傾向にある。
エジプトとエチオピアは9月の第74回国連総会でもダム問題に触れ、エジプトのエルシーシ大統領が演説で「国際社会の仲介」を求めたのに対し、エチオピアのサヘレウォルク大統領は「ダムを協力の象徴とすべき」と応じている。10月下旬のロシア・アフリカサミットでもアビィ・アハメド首相がエルシーシ大統領と会期中に別途、話し合いの場を持った。ダム問題は常に2国間関係の主要な課題の1つになっている。
(関隆夫)
(エチオピア、スーダン、エジプト、米国)
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