「合意なき離脱は災いのもと」、ビジネスヨーロッパが声明
(EU、英国)
ブリュッセル発
2019年09月18日
ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)は9月16日、英国がEUとの合意のない状態(ノー・ディール)で無秩序な離脱に踏み切る可能性について、「全ての関係者にとって災いのもとで、回避されるべき」と強く警告した。
ノー・ディールとなる可能性は依然として高いとの見解
ビジネスヨーロッパのマルクス・バイラー事務総長はノー・ディールのブレグジット(英国のEU離脱)について、「全ての関係者に極めて有害」と断じ、「悪影響は離脱日だけにとどまらず、長期にわたって、われわれが目指している(EU・英国の)有益な将来関係の構築を危険にさらすことになる」と語った。同事務総長の発言は、ノー・ディールの場合にEU側が妥協して迅速に「EU・英国通商協定」の締結に応ずる可能性は低い、との見方を示唆するものとみえられる(2019年8月27日記事参照)。
バイラー事務総長は、ブレグジット以降の相互関係を定める協定について、「EUと英国が将来関係を定義するのに、どれだけの時間がかかるかは誰にも分からない」と問題提起。英国がEU単一市場から離脱して第三国となることにより、とりわけ貿易や渡航などの面で大半の国以上にEUとの関係が遠くなると指摘し、EU・英国の将来関係を定める協定の必要性を強調した。
同連盟はノー・ディール回避に向けてEU・英国双方が建設的な対話を進めるべきとの立場だが、特に英国政府に対しては、秩序ある離脱を確保するための「実現可能な選択肢を緊急に提示するべき」とした。また同連盟は、「さらなる離脱期日の延期」については「不確実性を永続化させるだけ」として否定的な認識を示したが、選択肢としては検討せざるを得ないとしている。バイラー事務総長は「残念ながらこれまでの努力にもかかわらず、ノー・ディールでの離脱が依然として恐ろしいほどあり得るシナリオ」との見解を明らかにし、関係者にノー・ディールを想定した準備を進めるよう警告した。
なお、欧州委員会のジャン=クロード・ユンケル委員長は同日、英国のボリス・ジョンソン首相とルクセンブルクで会談し、残されている技術的な課題調整と、ブレグジットをめぐる今後について協議、離脱協定案と両立する、実現可能な代案を提案する責任は英国政府にあるとしたが、こうした提案は(英国側から)いまだになされていない、としている。
(前田篤穂)
(EU、英国)
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