米連邦政府債務残高に設定される法定債務上限の適用を2年間停止、2019年超党派予算法成立

(米国)

ニューヨーク発

2019年08月07日

8月2日に成立した2019年超党派予算法(Bipartisan Budget Act of 2019)では、政府予算に設定される法定歳出上限を2年分引き上げることに加えて(2019年8月6日記事参照)、政府債務残高に設定される法定債務上限の適用を、2021年7月31日まで2年間停止することなども決定された(図参照)。

図 連邦政府の債務残高と法定債務上限額

資金繰りリスクはいったん回避も財政状況は悪化

米連邦政府の発行する国債残高は、1917年第2次自由国債法(Second Liberty Bond Act of 1917)以降の累次の関連法によって、国債の発行上限額が定められており、これを超えた資金調達は行うことができないとされている。直近では2018年超党派予算法に基づき、2018年2月9日から2019年3月1日までの間は、直前(2017年12月9日)時点の債務上限額(20兆4,560億ドル)の適用を停止することとされていた。しかし2019年3月2日以降、再び上限の適用が開始され、延長期限(2019年3月1日)時点の債務残高である21兆9,880億ドルが、新たな上限額として設定されていた。このため、財務省はこの上限額に債務残高が抵触しないよう、それ以降は特例措置(注)を使って資金繰りを行ってきた。

こうした中で、米財務省は7月12日、このまま特例措置を使い続けても、議会が休会明けとなる9月初旬には連邦政府の資金が枯渇してしまう可能性があるため、議会休会前に債務上限引き上げの実現を要請した文書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を議会に提出していた。仮に、この時期までに債務上限の適用を凍結するか、債務上限を引き上げる法案が成立されなければ、政府は新規借り入れができなくなることによって資金が枯渇し、米国債への返済が滞るなど、デフォルト状態に陥る可能性もあった。しかし、今回の法律が成立したことを受け、少なくとも2年間は現在の水準近くでの資金調達が可能となり、資金繰りに関するリスクはいったん回避されることとなった。

(注)州・地方政府に対する特定目的のための国債発行停止、連邦政府職員向け退職年金基金や為替介入を目的とした基金(為替安定化基金)などが保有する国債への再投資停止など。

(権田直)

(米国)

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