米連邦政府予算に設定の法定歳出上限を2年分引き上げ、2019年超党派予算法成立

(米国)

ニューヨーク発

2019年08月06日

2019年超党派予算法(Bipartisan Budget Act of 2019)が8月2日、トランプ大統領の署名を経て成立外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。米国連邦政府予算の一部(裁量的歳出)に設定される法定歳出上限を2年分(2020、2021会計年度)引き上げるとともに、連邦政府の債務残高に設定される法定上限の適用を2年間延期することなどが決定された。

法定歳出上限を2年間で3,215億ドル引き上げ

連邦政府の予算は、全体の約3分の2を占める社会保障費などの義務的経費と、約3分の1の国防費や一般行政費などの裁量的経費に大別される(注)。このうち裁量的経費については、オバマ政権時代の2011年に成立した財政管理法に基づき、2021会計年度までの歳出額に、国防費・非国防費それぞれに歳出の上限(Budget Authority)が設定されていた。今回の法律では、この裁量的経費の上限額について、2年間合計で3,215億ドル(2020会計年度:1,686億ドル、2021会計年度:1,529億ドル)引き上げることなどが盛り込まれた(表参照)。

表 裁量的経費に関する歳出上限の引き上げ幅(2019年度超党派予算法)

2018、2019年度や2016、2017年度を上回る上限引き上げ幅

これまでも歳出上限は複数回修正されてきたが、今回の引き上げ幅(3,215億ドル)は、2018、2019会計年度の2,960億ドル、2016、2017会計年度の800億ドル、2014、2015会計年度の630億ドルなどと比べても規模が大きい。米シンクタンク「責任ある連邦予算委員会(CRFB)」は7月31日付の声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、今回の法律が成立すれば、2020、2021年度の連邦政府債務残高は2年間合計で約2,350億ドル押し上げられ、2021年度には1兆ドルを超えてしまうだろうと指摘した。

トランプ大統領は8月1日、ツイッターを通じて、今回の法律の成立は「われわれの偉大な軍と復員軍人雇用訓練局(Vets:Veterans' Employment and Training Service)、(とりわけ)雇用にとって驚異的なこと」だとし、成立によって「われわれは(大統領)選挙を乗り越えることができる」と述べた。また、歳出規模や債務残高の拡大を理由に一部の共和党議員が法律に反対していたが、「共和党員よ、(歳出規模や債務残高の)削減にはまだ十分な時間がある」と述べた。

(注)義務的経費は、歳出権限を与える法律がいったん成立すれば、毎年自動的に支出が認められるが、裁量的経費は、毎年歳出予算法を制定する必要がある。

(権田直)

(米国)

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