中国日本商会、2019年版白書で「投資」「税務」などを建議
(中国、日本)
北京発
2019年06月21日
中国日本商会は6月19日、「中国経済と日本企業2019年白書(以下、白書)」を発刊した。中国の中央・地方政府とのさらなる対話促進を目的として、中国各地の日系企業が直面している課題の分析と解決のための建議を取りまとめた。第10版となる白書の主要な訴求点は前年度版に引き続き「公平性の確保」に、重点分野は外商投資法制定や税制改正などを踏まえて「投資」「税務」に設定された(2019年6月21日記事、2019年3月20日記事参照)。
白書は、中国各地の商工会組織の日系企業(法人会員8,765社)が直面する課題の分析および解決のための建議(総数470件)をまとめたもの。最前線で中国ビジネスに取り組む会員企業などの約50人が執筆に当たり、中国日本商会調査委員会(事務局:ジェトロ北京事務所)が企画・編集などの取りまとめを行った。
ネガティブリスト以外の法令による外資参入制限への対応も要望
「投資」では、外商投資ネガティブリストなどにおいて外資の参入制限分野の削減が進む一方で、ネガティブリストには規定されていないが、他の関連法令によって外資の参入が実質的に制限されている事例があると指摘した。そうした事例に対応するため、国家発展改革委員会や商務部などに対応窓口を設け、問題の把握や関連法令の改正を行うことができるような体制の整備を要望した。
また、「税務」については、税法改正などに先立って事前の準備時間を確保することや納税申告対応について具体的な事例を挙げた取り扱い要領を示すなど、企業の納税実務に配慮した対応を求めた。
外商投資法が実効性のある法律となることを期待
中国日本商会の小野元生会長は6月19日の記者会見で、外商投資法について、これまでの「中国経済と日本企業白書」で要望してきた内容が含まれているとした上で、同法は中国とビジネスを行う日系企業に大きな影響をもたらすもので、同法が条文の規定どおり執行されることにより、中国市場がいっそう開かれたものとなることを期待すると述べた。
白書においては、外商投資法の規定がいずれも原則的な内容となっていることから、実施細則など関連法令が実効性のあるかたちで迅速かつ明確に制定されること、また、同法の施行前に事前説明会を開催することを要望している。
(小宮昇平)
(中国、日本)
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