中国日本商会、2018年版「白書」は「環境」「物流」を重点に建議
(中国、日本)
北京発
2018年06月21日
中国日本商会は6月20日、「中国経済と日本企業2018年白書」を発刊した。中国の中央・地方政府とのさらなる対話促進を目的として、中国各地の日系企業が直面している課題の分析と解決のための建議を取りまとめた。9度目となる2018年版の主要な訴求点は「公平性の確保」、重点分野は「環境」「物流」と設定された。
「中国経済と日本企業2018年白書」(以下、白書)は、中国各地の商工会組織の日系企業(法人会員8,841社)が直面する課題の分析および解決のための建議(総数483件)をまとめたものだ。最前線で中国ビジネスに取り組む会員企業の約50人が執筆に当たり、同会の調査委員会(事務局:ジェトロ北京事務所)が企画・編集などの取りまとめを行った。
建議を改革深化のヒントに
「環境」については、地方政府などによる監視や取り締まりの実施に当たり、担当者の恣意(しい)的な対応ではなく、統一した基準に基づく運用がなされることや、企業に対する行政指導などの際には、その根拠法令やデータなどの違反根拠を書面で示すといった対応を建議している。
「物流」については、通関、流通、輸送などに関する人的・物的・制度的インフラのさらなる整備や、輸出入時のHSコード分類の判断の統一、事前裁定制度の確実な実施など、予見可能性の向上に資する制度の整備を行うことを求めた。
日・中社会保障協定の早期発効に期待
中国日本商会の平井康光会長は6月20日の記者会見において、2018年5月に日中両国の外相によって日・中社会保障協定への署名がなされ、大きな進展があったことを歓迎したいと述べ、今後、日系企業の負担が早期に軽減されることを期待するとした(2018年5月11日記事参照)。
なお、中国日本商会は2017年度に商務部、国家質量監督検験検疫総局、海関(税関)総署などの中央政府を訪問し、白書を用いた対話を実施した。さらに、経済3団体(日中経済協会、日本経済団体連合会、日本商工会議所)の合同訪中団が李克強首相との会見時に白書の建議の説明を行うなど、さまざまな対話の場に活用されている。
(藤原智生)
(中国、日本)
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