トランプ政権、ファーウェイなどへの輸出規制の一部を90日間猶予
(米国、中国)
米州課
2019年05月21日
米国商務省産業安全保障局(BIS)は5月20日、華為技術(ファーウェイ)および関連する68社(注1)と90日間(5月20日~8月19日)に限り取引ができる、暫定包括許可(TGL;Temporary General License)を発行したと発表した。今回のBISの発表により、事実上、取引が禁止されたファーウェイなどと、一時的に輸出、再輸出、取引が可能となる。ただし、許可対象となるのは次の4つに限定される。
- 既存のネットワークおよび機器の継続的運用:5月16日以前に、ファーウェイまたは関連68社との間で締結された法的拘束力のある契約で、既に存在し運用されているネットワークおよび機器を維持・サポートするために必要な取引(ソフトウエアの更新を含む)。
- 既存の携帯電話へのサポート:5月16日以前に、一般に利用可能だった既存のファーウェイ製携帯電話へのサービスを提供するために必要な取引(ソフトウエアの更新を含む)。
- サイバーセキュリティー調査と脆弱(ぜいじゃく)性の開示:既に存在し運用されているネットワーク、機器、携帯電話の信頼性を維持するために不可欠なセキュリティー調査に関連する場合に、ファーウェイなどが所有、管理する製品のセキュリティー上の脆弱性に関する同社らへの情報開示。
- 5G基準開発への取り組み:正式に認められた国際標準化団体の一部として、5G標準の開発に必要なファーウェイなどとの関与。
なお、TGLを利用してファーウェイなどと取引をする際には、取引形態が今回許可された対象に合致すること記したステートメントを事前に作成し、保管しておかなければならない(注2)。
商務省は5月15日に、ファーウェイが必要な許可を取得せず、故意に米国から製品やサービスを、イランやイラン政府へ輸出、再輸出、販売、供給したことなどから、同社らをエンティティー・リスト(EL)に追加すると発表していた(2019年5月16日記事参照)。ELに記載された事業体へ米国製品(物品・ソフトウエア・技術)を輸出・再輸出する際は、通常は輸出許可が必要ない場合でも事前の許可が必要になるが、原則として不許可になる。ELへの追加は5月16日に行われたため、事実上、ファーウェイとこれら関連会社は米国製品の調達ができなくなっていた。
(注1)対象となる企業は、官報参照。関連68社の所在別の内訳は、中国35社、香港6社、英国3社、ベトナム2社、ベルギー、ボリビア、ブラジル、ミャンマー、カナダ、チリ、エジプト、ドイツ、ジャマイカ、日本、ヨルダン、レバノン、マダガスカル、オランダ、オマーン、パキスタン、パラグアイ、カタール、シンガポール、スリランカ、スイス、台湾各1社ずつ。
(注2)ステートメントの保管方法の詳細は、輸出管理規則(EAR)762条を参照。
(赤平大寿)
(米国、中国)
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