トランプ政権がファーウェイへの輸出を規制対象に、通信機器の調達を制限する大統領令にも署名

(米国、中国)

米州課

2019年05月16日

ロイター通信などによると、米国商務省は5月15日、華為技術(ファーウェイ)と関連68社をエンティティー・リスト(EL)に加えると発表した。ELに記載された事業体へ米国製品(物品・ソフトウエア・技術)を輸出・再輸出する際は、通常は輸出許可が必要ない品目でも、事前の許可が必要となる。だが、原則として不許可になるため、事実上、ファーウェイは米国製品の調達ができなくなる(注1)。なお、5月16日時点(日本時間)で、官報は出されておらず、本発表が効力を有するまでには、もう数日かかる見込み。

商務省は、5月13日にも12の事業体をELに加える発表をしており、翌14日に商務省産業安全保障局(BIS)が官報で正式に通知PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。追加された事業体は、中国と香港に所在する4つ、中国の2つ、パキスタンの1、アラブ首長国連邦(UAE)の5つ。商務省はELに追加した理由について、中国と香港の4つの事業体は、米国製品を調達してイランの大量破壊兵器に関する活動を支援しようとしたこと、中国の2つの事業体は、輸出が禁止されている技術の輸出に関与し、その技術が中国人民解放軍関連組織へ供給されたことを挙げている。

さらに、トランプ大統領は5月15日に、商務長官が安全保障上の懸念があると判断した場合、外国の敵対者(foreign adversary)が所有または支配する者によって設計、開発、製造、供給された情報通信技術やサービスの取引を禁止できる大統領令外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに署名した。詳細なルールや規則は、150日以内に商務長官が発表する。

2018年8月に成立した2019年会計年度の国防授権法(NDAA)には、ファーウェイや中興通訊(ZTE)を含む5社の通信機器などの米国政府による調達、およびこれら製品を主要な部品・技術として利用する企業と米国政府との契約を禁止する条項、輸出管理対象を新興・基盤的技術へも拡大する輸出管理改革法(ECRA)が盛り込まれているなど(注2)、米国政府は通信技術に関する輸出・調達規制を強化する方針を打ち出している。

(注1)ELには、大量破壊兵器拡散の懸念がある事業体や米国の安全保障・外交政策上の利益に反する事業体が掲載される。ELへ掲載された事業体への輸出・再輸出においては、輸出管理規則(EAR)の許可例外が適用されない。ジェトロの貿易・投資相談Q&Aも参照

(注2)米国政府による調達が禁止されるのは2019年8月から。対象製品・技術を利用している企業と米国政府の契約禁止は2020年8月から。NDAAによる政府調達の制限やECRAの詳細については、2019年5月15日付地域・分析レポート参照

(赤平大寿)

(米国、中国)

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