欧州各産業界、欧州議会選挙後の優先事項示す
(EU)
ブリュッセル発
2019年05月27日
EU加盟国で欧州議会選挙の投票が進む中、ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)のピエール・ガタズ会長は5月24日、訪問先のポーランド・ワルシャワでアンジェイ・ドゥダ大統領と会見し、「EUがこれまで達成してきた成果を当然のことと捉えるべきではない」と指摘、EUの将来を決める欧州議会選挙と投票の重要性を強調した。
欧州産業界の関心は既に選挙後のビジネス環境の在り方に
同連盟を含む欧州の14産業団体は5月2日、連名で欧州産業界やEU市民に欧州議会選挙での投票を呼び掛ける声明を発表しているが、この中でも、EUが長く続く平和や民主主義、自由と平等などの基本的な価値を人々にもたらしたことを「成果」と評価し、単一市場や共通通貨ユーロを例に、「多くの面で完全ではなかったとしても、EU統合のプラスの影響がマイナス面を上回る」とEU統合の意義を総括している。
さらに、同連盟は5月22日付で、「モノの自由移動;2019~2024年の優先課題」と題する意見書を発表。11月末までに発足予定の新しい欧州委員会など次期EU機構に対し、EUにおける市場アクセス確立に貢献する政策を重視するよう求めた。具体的には、イノベーションに伴う新技術の活用を阻害することなく、消費者に安全な商品・サービスを供給するため、効率的なルール形成や適合性認証、市場監視など、システムを整備・改善すべき点を提言している。
また、欧州製薬団体連合会(EFPIA)は5月23日付の声明で、「EFPIAマニフェスト」を発表。同連合会が欧州の医薬品産業として次期EU機構と協議したい論点として、「臨床効果を重視した医療行政(特に欧州統一医療データ・ネットワークの構築)」「欧州での予防接種情報の共有システム構築」「欧州での医薬品に関する知的財産権保護の強化」などを求めている。
このほか、欧州工作機械工業連盟(CECIMO)は「2019年欧州議会選挙に向けたマニフェスト」の中で、「米中など主要貿易相手国との互恵関係の確立」「国際標準確立のためのEUの主導的立場の維持」「重要法令改正時の産業界への配慮(イノベーション阻害の回避)」「EU国外派遣労働指令の簡易運用」など10項目に対する次期EU機構の対応を求めた。
欧州自動車工業会(ACEA)(2019年5月21日記事参照)や、欧州最大の農業協同組合である農業生産者団体COPA-COGECA(2019年5月20日記事参照)も、EU新体制に対する政策期待を表明している。
(前田篤穂)
(EU)
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