欧州最大の農業団体、欧州議会選挙に向け政策提言

(EU)

ブリュッセル発

2019年05月20日

欧州最大の農業協同組合・農業生産者団体であるCOPA-COGECAは5月17日、5月23~26日の欧州議会選挙(2018年5月28日記事参照)に向け、主要会派が擁立した次期・欧州委員会委員長の候補者らに宛てたEU農業政策の拡充を求める意見書(5月15日付)を公表した。

次期・欧州委員会委員長候補にCAP維持の重要性アピール

5月15日の主要会派の次期・欧州委員会委員長の候補者(以下、筆頭候補者)6人による公開討論に先立って、COPA-COGECAは政策的期待を表明した。同団体は、農業従事者を取り巻く「世代交代」「低収入」「不安定な市況」「気候変動」などの諸課題を念頭に、この困難な状況を乗り越えるEUとしての農業政策の必要性を訴えた。特に「食料安全保障」「高い品質基準」「(農業の)持続可能性」「環境保護」など、EU市民の期待と需要に応える農業の在り方を模索すべきと指摘した。

また、COPA-COGECAは、欧州におけるバイオエコノミーの実現や炭素隔離分野での主導的役割を欧州が果たすことや、地域活性化や貿易収支などに農林業の果たす役割の重要性にも言及した。それらの中核を担うEUの共通農業政策(CAP)の維持の必要性を強調し、欧州委員会、農業・農村開発総局(DG AGRI)の機能拡充を求めた。

なお、今回の意見書は、以下をはじめとする公開討論出席者を含む主要会派指名の筆頭候補者に宛てて出状された。公開討論不参加の「⾃由と直接⺠主主義の欧州(EFDD)グループ」「国家と⾃由の欧州(ENF)」は宛先に含まれない。

  • 欧州人民党(EPP)グループ(欧州議会の最大会派):マンフレート・ウェーバー議員(ドイツ選出)
  • 欧州社会党(PES)〔第2会派の社会・民主主義進歩連盟グループ(S&D)〕:フランス・ティーマーマンス欧州委員会・第1副委員長
  • 欧州保守改革グループ(ECR):ヤン・ザラディル議員(チェコ選出)
  • 欧州自由民主同盟グループ(ALDE、注):マルグレーテ・ベスタエアー欧州委員(競争政策担当)ら
  • 欧州左翼党〔欧州統一左派・北欧緑左派連盟グループ(GUE/NGL)〕:ニコ・クエ氏ら
  • 欧州緑の党(GREENS)グループ:スカ・ケラー議員(ドイツ選出)ら

(注)欧州自由民主同盟(ALDE)はベスタエアー委員を含めて7人の筆頭候補者を指名。

(前田篤穂)

(EU)

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