対中追加関税率の引き上げは「次の通知まで」延期に

(米国、中国)

米州課

2019年03月06日

米国通商代表部(USTR)は3月5日、1974年通商法301条に基づく、中国からの輸入に対するリスト3〔対中輸入額2,000億ドル相当の5,745品目(米国関税率表の上位8桁、一部品目は部分的に対象)〕PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の追加関税率を「次の通知があるまで(until further notice)」現行の10%とし、25%への引き上げ期限を延期すると官報で公示外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。期限延期の理由については、トランプ大統領は2月24日、中国政府との協議において知的財産権保護、技術移転、農業、サービス、外国為替などの構造的な問題について、重要な進展がみられたことなどを挙げていた(2019年2月26日記事参照)。

追加関税率引き上げ期限の延長は、今回で2回目。当初は2018年12月31日を期限としていたが、G20サミットに合わせて行われたトランプ大統領と習近平国家主席との会談の後、いったん3月2日まで延期された(2018年12月20日記事参照)。今回の2度目の延期を発表した官報では、具体的な期限は明示されていない。

米国と中国の2国間協議について、「ウォールストリート・ジャーナル」紙(電子版3月3日)によれば、中国側が米国の農産品、化学製品、自動車・同部品などに対する関税率の引き下げや規制の緩和を申し出たことから、最終段階にあるとされている。またトランプ大統領は、3月中にも行われる見込みの米中首脳会談での合意へ意欲をみせている(通商専門誌「インサイトUSトレード」3月1日)。一方で、USTRのロバート・ライトハイザー代表は、2月27日に行われた下院歳入委員会の公聴会で、協議の進展は認めたもののまだ多くの作業が必要だとし、協議の結果を予測するのは時期尚早、と慎重な姿勢を示しており(2019年3月5日記事参照)、先行きを見通すには難しい状況にある。

品目別適用除外制度の記載なし

なお、今回の官報において、品目別適用除外制度についての記載はなかった。議会や産業界は、リスト3に対しても適用除外制度を求めているものの、ライトハイザー代表は、適用除外制度の設置に関して、明確な意向は示していない(2019年3月5日記事参照)。

(赤平大寿)

(米国、中国)

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