欧州委、英国の妥協を前提に新たな協議の可能性を示唆

(EU、英国)

ブリュッセル発

2019年01月17日

欧州委員会のミシェル・バルニエ首席交渉官は1月16日、英国議会での採決結果(2019年1月16日記事参照)を受け、欧州議会本会議での英国のEU離脱(ブレグジット)問題に関する審議(2019年1月15日記事参照)にフランス・ティーマーマンス第1副委員長とともに出席、欧州委としての現状認識を報告した。

英国側のレッドライン見直しを求めるEU

バルニエ首席交渉官は、EUとの「離脱協定」案と「政治宣言」案に対する英国議会の否決について、「この結果を現段階で評価するのは時期尚早」と語りつつ、英国がEUを離脱する3月30日午前0時(中央ヨーロッパ時間)まで残り10週間となり、合意なき離脱(ノ-・ディール)のリスクがこれまでになく高まっていると指摘。EU側でノー・ディールのシナリオも念頭に置いて緊急時に向けた準備を加速させる考えも示唆した。

首席交渉官は一方で、英国側が「譲れない一線」(レッドライン)を見直すなど妥協する意向を示すならば、EUとしても「応じる用意がある」とも述べ、状況打開に向けた新たな協議の可能性に含みを持たせた。

ティーマーマンス第1副委員長も「われわれはノー・ディールのシナリオを含めて、いかなる状況にも対処できるように準備を進める必要がある」としたが、同時に、過去の議論はリセットし、新たな解決策を模索する意義を語った。

欧州議会のブレグジット問題対策グループの座長を務めているギー・フェルホフスタット議員(ベルギー選出)は、現在の政治的な行き詰まり状態から抜け出すためには、英国議会側が党派の枠を越えた協議を深め、前向きな方向に論陣を形成し、可能な限りレッドラインを見直す道を模索すべきと指摘。こうした英国側の立場の見直しがEUとの新たな関係形成の道を開くと述べた。

(前田篤穂)

(EU、英国)

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