石油大手3社の業績、上半期も増収増益

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2018年09月21日

ロシアの石油大手3社が発表した2018年上半期の財務諸表(国際会計基準)はいずれも増収増益(表参照)で、第1四半期に続き(2018年6月5日記事参照)好調な業績が明らかとなった。

表 2018年上半期財務諸表(国際会計基準)

中でも、最大手ロスネフチの純利益は前年同期比4倍超の3,090億ルーブルを計上。金融サービスBCSのシニアアナリスト、セルゲイ・スベロフ氏は、同社の好決算の要因として石油価格上昇に加え、コスト管理の改善やバシネフチなどの買収による相乗効果を指摘している(「コムソモリスカヤ・プラブダ」電子版8月7日)。

政府が政策目標の達成(2018年5月8日記事参照)に向けた財源の1つとして、2019年1月1日から石油業界の税負担が増加する。2018年7月に石油税制改革法案が議会を通過し、8月3日には大統領の署名がされた。内容は大別すると2点で、a.輸出税の引き下げと鉱物資源採掘税の引き上げ、b.石油製品の物品税の優遇措置となる。aは、原油と石油製品の輸出税率を2019年から段階的に引き下げ、2024年1月1日以降は無税とする。その一方で、鉱物資源採掘税を並行して引き上げる。原油精製時の政府補助で石油製品価格が安く抑えられ、輸出関税の徴収額が低くなっているため、鉱物資源採掘税の引き上げにより原油採掘企業への直接課税に切り替える。今回の改革で、2024年までの6年間の業界の追加負担は1兆~1兆6,000億ルーブル(約1兆7,000億~2兆7,200億円、1ルーブル=約1.7円)に達する見込み(「ロシア新聞」7月19日)。bは、増税による製油所の利益圧迫と国内のガソリン価格高騰が及ぼす市民生活への影響を回避するのが狙い。

財務省のアレクセイ・サザノフ税務局長は「石油セクターは現金保有が多く、今回の増税に十分に耐え得る」との認識を示している。2018年の石油セクター全体のフリーキャッシュフロー(注)は2兆ルーブル規模に達するとみられる。2018年7月と9月には業界最大手のロスネフチと2位のルクオイルが、それぞれ自社株の買い戻し計画を発表している(ロイター通信9月3日)。

(注)自由に使える現金のこと。

(市谷恵子、高橋淳)

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