石油大手3社、原油価格上昇で業績好調
(ロシア)
欧州ロシアCIS課
2018年06月05日
ロシアの石油関連大手の2018年第1四半期の財務諸表発表が相次いで行われた。各社とも、原油価格が高値で推移したこと、ルーブルの対ドルレートが安定(図参照)したことなどから業績は好調で、石油大手3社は前年同期比でいずれも増収増益の結果となった(表参照)。
最大手ロスネフチの第1四半期決算(5月14日発表)では、売上高が前年同期比22.1%増の1兆7,220億ルーブル(約2兆9,274億円、1ルーブル=約1.7円)で、純利益は7倍の810億ルーブルとなった。OPECとの協調減産による原油相場の上昇や販売ルートの最適化による営業利益の拡大と為替の安定が大幅増益につながった。前期(2017年第4四半期)比では純利益は19.0%減だったが、同期に多額の一時的な利益が含まれていたためと説明している。
民間大手ルクオイルは5月28日に財務諸表を発表。売上高は前年同期比13.9%増の1兆6,307億ルーブル、純利益は75%増の1,091億ルーブルの増収増益となった。石油価格の上昇が売り上げ拡大に寄与した。大幅増益の理由は前年同期に多額の為替差損を被ったことによるもので、同差損(非現金支出)の影響を考慮しない場合の増益率は13.5%増としている。
ガスプロムネフチの売上高は、同社の発表(5月29日)によると、前年同期比14.5%増の5,206億ルーブル。EBITDA(注1)は32.3%増の1,558億ルーブルで増収増益だった。純利益(注2)は12.4%増の697億ルーブル。当期の好業績の要因として、採掘部門での新規事業の成長、小売販売の拡大、市況の回復、経営の効率化を挙げている。
一方、原油価格上昇は市民生活にも影響を及ぼし始めており、ロシア極東ではガソリン価格が上昇した。ロシア平均で1リットル当たり41.28ルーブルのところ、サハ共和国(ヤクーチヤ)、チュコト自治区では50ルーブルを突破。沿海地方のウラジオストクでも過去最高値となる44.17ルーブルを記録し、連邦反独占局などは事態を注視している。政府はガソリン価格を含む物価上昇を抑制するため、2018年7月1日から燃料税を引き下げる予定だ。
(注1)利払い前・税引き前・減価償却前利益。
(注2)同社株主に帰属する純利益。
(高橋淳、市谷恵子)
(ロシア)
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