自動車業界団体、燃費基準の現状維持を支持

(米国)

ニューヨーク発

2018年05月16日

自動車メーカー12社(注1)からなる米国自動車工業会(AAM)のミッチ・ベインウォル会長兼CEOは5月8日、下院エネルギー・商業委員会が開催した公聴会で証言し、2022~2025年型自動車の排ガス・燃費に関する規制値を、年ごとに段階的に引き上げる現行の方針を支持すると表明した。

全国で統一した規制の策定を

排ガス・燃費基準に関しては、環境保護局(EPA)と運輸省道路交通安全局(NHTSA)が、4月2日にオバマ前政権で策定された基準値の緩和を明らかにしていた(2018年4月4日記事参照)。また最近では2021~2026年型以降の自動車に対する燃費基準値を凍結するといった政府の草案PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の存在が報じられていた。

こうした動きに対し、自動車メーカーの多くは、厳しい基準値の見直しを求めてはきたものの、既に投資の進む技術開発の流れを止めるような現政権の動きには慎重な姿勢を示した(「ウォールストリート・ジャーナル」紙電子版5月10日)。

ベインウォル氏は証言の中で、世界最大の自動車市場の中国をはじめ、多くの国が時限付きで電気自動車やプラグインハイブリッド車などの販売目標を掲げるなど、環境対応車の普及はグローバル市場のトレンドとなっているが、米国内での販売台数は全体の約1.2%にとどまり普及は進んでいない、と現状を説明した。

また、連邦政府による規制と、カリフォルニア州が定めるゼロ・エミッション車(ZEV)規制(注2)の双方への対応が車両にかかるコストを引き上げているとし、政府とカリフォルニア州が歩み寄り、全米で統一した規制プログラムの策定を進めるよう求めた。

(注1)ゼネラルモーターズ(GM)、フォード、フィアットクライスラー・オートモービルズ(FCA)、トヨタ、マツダ、三菱自動車、BMW、メルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲン(VW)、ポルシェ、ボルボ、ジャガー・ランドローバー。AAMによると、12社の販売台数合計は全米の約7割を占める。

(注2)AAMによると、現行のZEV規制を順守するため、自動車メーカーは、ZEV規制を採用する13州で、販売台数の15%をZEVに充てる必要がある。

(大原典子)

(米国)

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