プルイットEPA長官、自動車の燃費基準緩和を表明
(米国)
米州課
2018年04月04日
環境保護庁(EPA)のスコット・プルイット長官は4月2日、オバマ前政権が策定した2022~2025年型自動車の排ガス基準を緩和すると発表した。また、自動車の燃費基準達成の手段となる企業平均燃費(CAFE)規制を所管する運輸省道路交通安全局(NHTSA)と合同で、新しい燃費基準作成に着手することを明らかにした。
前政権が策定した現行基準では、2025年型車の温室効果ガス(GHG)排出基準を1マイル当たり163グラム、2025年型車の1ガロン当たりの平均燃費基準(mpg)を48.7~49.7と設定されている。この結果、求められる燃費は1ガロン当たり50マイル(約80.5キロ)以上となる。しかし、米国では自動車燃料費が下がってきたことで、燃費効率が劣るピックアップ・トラックやスポーツ用多目的車(SUV)などの販売が急増している。このため自動車業界からはCAFE基準達成は困難との声が上がっていた。
単一の全国基準作成を目指す
一方、カリフォルニア州大気資源局(CARB)は連邦の基準より厳しい独自の規制を策定し、「1970年大気浄化法」の下で連邦規制に対する免除措置を得ている。その結果、米国内には、連邦とカリフォルニア州との異なる燃費基準が併存することになり、自動車業界からは、基準の一本化を求める声が上がっていた。プルイット長官は、特定の州が他州に規制を強要することはあってはならないと述べるともに、カリフォルニア州への免除措置を見直し、環境や安全にとって好ましい単一の全国基準を、カリフォルニア州を含む全州と共同で作り上げていくと語った。
自動車業界は、今回のEPAの発表を一様に歓迎している。ビッグスリーやトヨタ、ボルボなどで構成される自動車利益団体のAuto Allianceは、今回の決定は正しいもので、政権がデータに裏打ちされ、かつ経済性のある燃費基準を策定し、多くの国民が手軽な価格で新車を購入し続けられることを期待していると表明した。他方、CARBのマリー・ニコルズ局長は、「今回のEPAの発表は何の技術的な根拠もなく、単に規制を緩和したいという政治的な動機に基づくものだ。EPAの案が実行に移されると、市民の健康が害され、大気汚染が進むだけだ」と批判した。
(木村誠)
(米国)
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