追加関税の停止、中国の対米輸入拡大などで合意
(中国、米国)
北京発
2018年05月22日
米中両国は5月19日、経済貿易協議に関する共同声明を発表した。中国共産党中央政治局委員である劉鶴副首相などが訪米し、米国のムニューシン財務長官などと協議、その概要が人民政府ウェブサイトに新華社記事に掲載された(表参照)。
人民政府ウェブサイトに掲載されている新華社記事によると、劉鶴副首相は、今回の協議の最大の成果は、双方で貿易戦争を行わず、相互に追加関税を停止するという共通認識を形成したことだと述べた。そして、両国がエネルギー、農産物、医療、ハイテク製品、金融などの分野での協力の強化を通じて、中国の発展の質を高め、国民の需要を満たすとともに、米国の対中貿易赤字の削減にもつながる「ウィンウィン」な選択だと強調した。さらに、相互の投資強化と知的財産権保護分野の協力の深化は、米中両国のみならず、グローバル経済・貿易の安定的な繁栄にも有益だとした。
具体的な内容は引き続き協議
米中貿易をめぐる双方の貿易制限措置の発表を受け、5月初旬にはムニューシン財務長官などが訪中し、1回目の協議を行った。その後、商務部スポークスマンが、その際に中興通訊(ZTE)の案件を交渉し、米国側がこれを重視し大統領に報告するとしたことは発表していたものの、協議内容はほとんど明らかにされなかった(2018年4月20日記事参照)。また、米国が2020年末までに中国の対米貿易黒字を2,000億ドル削減するよう求めたなどとの報道もあり、今後の交渉の難しさが指摘されていた。
2回目の交渉では、前向きな進展がみられたといえるが、ZTEへの制裁緩和や米国が見直しを求めている「中国製造2025」への言及はなかった。共同声明でも触れているとおり、より具体的な措置の内容については双方が引き続き協議していくため、今後の動向が注目される。
(宗金建志)
(中国、米国)
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