通関業者に輸出通関を依頼する際の必要書類:日本
質問
通関業者に輸出通関を依頼します。通関業者に提出する必要書類の種類、作成する際の注意事項について教えてください。
回答
輸出通関を依頼する通関業者には仕入書、包装明細書、船積依頼書、委任状などを提出します。
I. 仕入書(Invoice、インボイス、商業送り状)
通常、インボイスと呼ばれます。
この書類は、輸出申告の際、輸出許可の判断のために求められた場合のみ税関に提出します。税関に提出する仕入書は以下の要件を満たす必要があります。
- 輸出国の荷送人(輸出者)が、輸入国の荷受人(輸入者)に対し、貨物の発送を通知するために作成した書類
- 貨物の品名、種類、数量、価格、代金支払方法、荷送人および荷受人の住所、居所、氏名、名称等が記載されていること
II. 包装明細書(Packing list、パッキングリスト、梱包明細書)
通常、パッキングリストと呼ばれます。
仕入書を補完するもので、輸出貨物の個数、包装後の重量・容積等が記載され、価格や決済に関する情報は通常、記載されません。
税関から提出を求められることもあるため、あらかじめ作成することをお勧めします。混載貨物として輸出する場合、通関業者から提出を求められることもあります。なお、仕入書と包装明細書は1つの書類で兼用することもあります。
III. 船積依頼書(Shipping Instructions、S/I、シッピング・インストラクション)
通関業者が船荷証券(Bill of Lading: B/L)、航空運送状(Air Waybill: AWB)を作成するための情報として、記載すべき内容を指定します。通関業者が書式を指定する場合もあります。
通関業者への指示を徹底し、書類作成の間違いを防止できる効果が期待できますので、用意することをお勧めします。
IV. 委任状
通関業者と初めて取引を行うときに用意する書類です。
通関業者は、通関業務に際して帳簿類を設け、それらを一定期間保存することが義務付けられています。保管義務のある書類の一つに「依頼者から依頼を受けたことを証する書類」があります(通関業法第22条第1項、通関業法施行令第8条第2項)。通関業者は任意の書式で顧客(輸出入通関を依頼した委託者)から「委任状」を取得します。
V. その他の参考情報
- 輸出入・港湾関連情報処理システム(Nippon Automated Cargo and Port Consolidated System: NACCS)
現在、日本のほとんどの通関業者は、NACCSを使ってシステム上で通関を行います。通関業者がNACCSを通して申告を行い、「区分1:許可」と処理された場合、税関への紙資料の提出は大幅に省略できます。また、2013年10月からは、これまで紙媒体で提出していた書類の多くがPDF等の電子媒体で提出できるようになりました。 詳しくは税関、通関業者にご照会ください。 - 必要書類の法的な定義
従来、輸出通関の必要書類として仕入書(インボイス)が義務付けられていました。
しかし、2012年10月1日に改正された関税法で、「契約書、仕入書その他の申告の内容を確認するために必要な書類又は便益を適用するために必要な書類で、政令に定めるものを提出させることができる」と定められ、税関が必要と認めた場合のみ提出を求められるとされています(関税法第68条)。
ただし、実務上は現在も引き続き、通関業者に通関業務を委託する際には、上記の一連の書類を提出します。
関係機関
関係法令
法令データ提供システム(e-Gov):
通関業法
通関業法施行令
関税法(第68条)
調査時点:2013年8月
最終更新:2022年1月
記事番号: A-010812
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