一般特恵関税制度と特別特恵関税制度:日本

質問

開発途上国から衣料品を輸入する際、特恵関税の適用を受けたいのですが、制度と手続きについて教えてください。

回答

一般特恵関税制度(Generalized System of Preferences: GSP)とは、わが国が「特恵受益国」と認めた開発途上国を原産地とする品目(一部の例外品目は除く)を日本に輸入する場合に、通常の関税率より低いか、あるいは無税(Free)の特恵税率が適用される制度です。

I. 特恵関税の適用手続き

特恵関税の適用を受けるためには、輸出地の商工会議所等の発給機関で発行される所定様式の原産地証明書(Form A)原本を輸入通関時に税関へ提出する必要があります。ただし、国内産業事情等から皮革、衣類、履物などの一部例外品目(関税暫定措置法別表第4)があります。

II. 特別特恵制度

特恵受益国のうち、「特別特恵受益国」として認められた後発開発途上国(Least developed country: LDC)(47ヶ国・地域)の原産品を輸入する場合は、特別特恵関税が適用され原則無税になります。これにも特別特恵例外品目(関税暫定措置法別表第5に記載)があります。
税関ウェブサイトの実行関税率表の特別特恵の欄に、「無税」と記載されている品目が、後発開発途上国を原産地とする物品に対してのみ適用される税率であることを示しています。

III. 特恵関税適用の条件

特恵関税制度の適用を受けるためには、特恵受益国を原産地とする物品であることが必要です。
原産地の認定基準には、「完全生産品基準」と「実質的加工基準」があります。「実質的加工基準」には原則として関税番号4桁変更基準が用いられます。
特恵受益国の原産品であることの証明として、原産地証明書(様式 Form A)を現地の商工会議所などから取得することが必要です。また、原則として、当該物品が受益国から日本へ直送される必要があります。

IV. EPA特恵制度

近年、日本との二国間・多国間の経済連携協定(EPA)締結が進んでいます。一般特恵受益国とEPAを締結している場合は、EPA特恵関税率が一般特恵関税率にとって代わり、その場合は各協定で規定されている特定原産地証明書が必要です
ただし、一般特恵の対象品目で、経済連携協定において関税の撤廃・引下げの約束をしていない品目および関税の撤廃・引下げの約束をした品目であっても、一般特恵の税率が経済連携協定の税率を下回る品目については、引き続き一般特恵の対象となります。
なお、ラオス、ミャンマー及びカンボジアについては引き続き全ての一般特恵対象品目の適用が可能です。
(参照:一般特恵税率の適用が可能な品目外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます )

V. 衣料品を輸入する場合

ご質問の衣料品(HSコード第61類や第62類)については大半が、特恵関税例外品目とされており、一般特恵関税率の適用を受けることは難しいと思われますが、特別特恵受益国からの輸入であれば、無税(EPA特恵が適用される場合も無税)となります。

従って、商品のHSコードを確認し、原産国が特恵受益国、特別特恵受益国、もしくはEPA締約国なのかによって、利用する特恵関税用の原産地証明書を入手する必要があります。

関係機関

各地税関相談官室外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
公益財団法人日本関税協会外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

関係法令

関税定率法、関税暫定措置法

参考資料・情報

税関:
カスタムスアンサー、輸入通関 1-5 特恵関税外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
カスタムスアンサー、輸入通関 4経済連携協定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

外務省:
特恵関税制度、特恵受益国および地域一覧表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

調査時点:2011年8月
最終更新:2017年9月

記事番号: A-001007

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