沖縄発! 農業イノベーション ‐インドのスタートアップの挑戦‐

2021年10月21日

沖縄を研究開発の拠点とするインドのスタートアップが、干ばつ地でも農業の生産性を向上させうる画期的な製品を開発した。それは、今までにない天然由来の吸水性ポリマーだ。このポリマーは、沖縄での実証実験を終え、昨年10月からインドで販売が始まった。また、開発を支援している沖縄のインキュベーション施設は、新しく先鋭的な技術の開発を支援し、世界に発信していくことで、より多くの優秀な人材が沖縄に集まる好循環を生みだしていきたいと期待しているという。日本だけでなく、世界の課題解決を図ろうとするインドのスタートアップの取り組みを取材した。

(10分02秒)

テキスト解説を読む

テキスト解説:視覚障害のある方のための文字おこしテキストです。

映像説明: ジェトログローバルアイオープニングタイトル。 フランス・パリのエッフェル塔や凱旋門、アニメキャラクターのコスプレをした20代くらいの海外の女の子や、渋谷のスクランブル交差点の写真など、世界中の12枚の写真が画面の奥から飛び出してくる。水色を基調としたコンピューターグラフィックの背景に、中が空洞になった緑色(みどりいろ)の地球儀が回転しながら現れる。画面右側で地球儀が回転し、左側に紺色の文字で「世界は今 JETRO Global Eye(ジェトロ グローバル アイ)」と書かれたタイトルテロップが表示される。

映像説明: スタジオ。横長の薄い黄緑色(きみどりいろ)の背景モニターに緑色(みどりいろ)を基調とした地球儀と「世界は今 JETRO Global Eye(ジェトロ グローバル アイ)」のロゴが映し出されている。前方にも小さいモニターが置いてあり、風に揺れるシュロの木と木漏れ日の映像が映し出されている。モニターの左側、スタジオ中央に女性キャスターが座っている。ベージュ色(いろ)のジャケットを着てグレーのスカートをはいている。

女性キャスター: 世界は今、ジェトログローバルアイ。

映像説明: スタジオ。画面の左側に女性キャスターが、右側に小型モニターがある。小型モニターには、研 究所のような室内で白衣を着てゴーグルと実験用手袋をつけた外国人男性が先端に長い管(くだ)がついた注射器とビーカーを手に持ちながら作業している映像、雲が浮かぶ青空の下で赤いTシャツを着た男性がオレンジ色(いろ)のタンクが置かれたトラックの荷台の上から背の高い葉が生い茂った畑にホースで液体を散布している映像が映し出されている。女性キャスターが話をする。

テロップ: 江連 裕子(えづれ ゆうこ)

江連(えづれ)キャスター: 沖縄県を拠点に農業分野でイノベーションを起こそうとしているインドのスタートアップがあります。その取り組みは、果たして、これからの農業にどんな可能性を生み出してくれるのでしょうか。

テロップ: 沖縄発! 農業イノベーション ‐インドのスタートアップの挑戦‐

映像説明: 青空と海。波が打ち寄せる浜辺の奥に緑豊かな山が見える。 青い空の下で咲いている赤いハイビスカス。画面右下の四角い枠に沖縄県の地図。沖縄県が緑色(みどりいろ)で示され、沖縄本島のほぼ中央に位置する恩納村(おんなそん)が赤い星印で示されている。県庁所在地である那覇市は沖縄県の南部に位置し、黒い丸印で示されている。

サイドテロップ(画面右上にほぼ常時表示): 水不足の問題解決へ 沖縄発! 農業イノベーション

テロップ: 沖縄

ナレーション: 南国の島、沖縄。那覇市からおよそ50キロ離れた恩納村(おんなそん)。

映像説明: 背の高い葉が生い茂っている畑。赤いTシャツを着てゴム手袋とマスクをした外国人男性がホースを使って水を散布している。 赤いTシャツを着た男性が、かがんで土(つち)の状態を見ている。

ナレーション: この恩納村(おんなそん)を拠点に世界の農業にインパクトを与える技術が誕生している。開発したのはインドのスタートアップだ。

映像説明: 上空から撮影した映像。緑豊かな台地に、曲線の外壁の建物や屋上に片面がアーチ形状の屋根があるグレーの建物が数棟建っている。各建物は渡り廊下でつながっていて、敷地の周りには木々(きぎ)が生い茂っている。左側には足場の組まれた建設中の建物がある。敷地の奥の山には3基の鉄塔が連なって立っていて、山の手前には広い駐車場がある。山の向こう側には街並みが見える。

テロップ: 沖縄科学技術大学院大学

映像説明: 白い壁の部屋。壁にカレンダーが貼ってあり、8つに区切った仕切りが置かれた木目調の机に4人の男女が座っている。手前にある棚の上には黒い電話が置かれている。薄ピンク色の服を着てマスクをした外国人男性と、紺色の服を着てマスクをした男性が話をしている。仕切りの上に黄色い柑橘系のくだものが2つ置かれている。

テロップ: EF POLYMER 2019年 沖縄に拠点を移す

ナレーション: 沖縄科学技術大学院大学のインキュベーション施設に入居する「EF POLYMER」は大学の起業支援プログラムに採択され、2019年に沖縄に拠点を移した。

映像説明: 白い壁の研究室の中。薄ピンク色の服の上に白衣を着て、青い実験用手袋とマスクをした外国人男性が液体の入ったビーカーを黒い作業台の上に置く。黒い作業台の上には、棚板(たないた)のふちに棒が設置された棚があり、目盛りがついた遠心管3本などが置かれている。奥には白くて四角い大小の機材が2つとクリーム色(いろ)の四角い機材が置かれている。 青い実験用手袋をつけ、白衣を着た男性が白い円筒形(えんとうけい)の機械に置いた三角フラスコの様子を見ている。フラスコの中では複数の小さな白い物体がカラカラと音を立てながら飛び跳ねている。 青い実験用手袋をつけた人物が、うす茶色(うすちゃいろ)の液体をビーカーから試薬瓶に移している。

テロップ: スタートアップ・アクセラレーター・プログラム 科学技術分野での起業支援として資金 技術 経営アドバイスを提供

ナレーション: この支援プログラムは、科学技術分野に特化し、沖縄での起業に向けて必要な資金や技術、そして経営アドバイスなどが提供されている。

映像説明: 白い壁の研究室の中。白衣を着て青い実験用手袋とゴーグルをつけた外国人男性が透明の袋を閉めて作業台の上に置く。作業台の棚には洗浄瓶などが置かれていて、室内の奥にはガラスの壁が見える。

テロップ: EF POLYMER ナラヤン・ラル・ガルジャール CEO

ナレーション: インド人CEOのガルジャールさんが開発途中の技術をここで完成させた。

映像説明: ガルジャール CEOがシャーレに入った白いパウダー状のものをこちらに向けて見せる。

テロップ: 吸水性ポリマー

ナレーション: それが、このパウダー状のポリマー。

ガルジャール CEO・英語: これが完成品です。

映像説明: ポリマーの入ったシャーレに水を入れ、スプーンで混ぜる。 固まったポリマーが入ったシャーレを手のひらの上で向けてひっくり返すが、ポリマーはシャーレに密着している。

ナレーション: このポリマーは、吸水性と保水性に優れている。

映像説明: 乾いた土(つち)が入ったビーカーにポリマーを入れ、スプーンで混ぜる。ビーカーの奥には、水分を含んで固まったポリマーが入ったシャーレが置かれている。

ナレーション: 土(つち)に混ぜると…。

映像説明: 透明のカップにポリマーが混ぜられた土(つち)と水が入れられている。容器の下には水色の装置がついた空(から)の透明の容器がついている。左隣に、土(つち)と水が入った透明のカップと水色の装置がついた透明の容器があり、容器の中に泥水がしたたり落ちている。並べて置かれた2つの装置の後ろには黒いパッケージに植物の写真と「Fasal Amrit(ファサル アムリット)」などと書かれた袋が置かれている。左側の容器に「普通の土(つち)」、右側の容器に「ポリマーを混ぜた土(つち)」というテロップが表示されている。

テロップ: 普通の土(つち)

テロップ: ポリマーを混ぜた土(つち)

ナレーション: ポリマーが水を吸い、保水するため、下に漏れることがない。

映像説明: 白い壁で縦型のブラインドがかかった窓がある部屋。白い台の上にはステンレス製の箱型の装置が置かれている。装置の横には植物の写真と「Fasal Amrit(ファサル アムリット)」などと書かれた黒いパッケージが2つ置かれている。薄ピンク色の服を着たガルジャールCEOがインタビューに答える。 土(つち)と混ざったポリマーと水が透明のカップに入れられている。

ガルジャール CEO・英語: このポリマーは吸った水を保水するので、畑(はたけ)に必要な水の約40%を節水することが可能です

映像説明: 室内。白い壁にはカレンダーが掲げられている。マスクをしたガルジャールCEOが赤いペンを持ち、ひざにノートを置いて椅子に座っている。机にはパソコンのモニターとノートパソコンが置かれている。

ナレーション: 開発したきっかけは、インドの農家を助けるためだという。

映像説明: 白い壁で縦型のブラインドがかかった窓がある部屋。白い台の上にはステンレス製の箱型の装置が置かれている。装置の横に植物の写真と「Fasal Amrit(ファサル アムリット)」などと書かれた黒いパッケージが2つ置かれている。薄ピンク色の服を着たガルジャールCEOがインタビューに答える。

ガルジャール CEO・英語: 生まれ育ったインドのラジャスタン州は、干ばつの影響で農作物が育ちにくい地域です。 そこで吸水性ポリマーのアイデアが生まれました

映像説明: シャーレに入ったパウダー状のポリマー。水を吸収してふくらんだポリマーに映像が切り替わる。

テロップ: 100%天然由来

ナレーション: この吸水性ポリマーは、従来のおむつなどに使われる化学合成のアクリル系とは違い、100%天然由来の成分でできている。

映像説明: 白い雲が浮かぶ青空。三角屋根の平屋の建物があり、出入り口部分に黄色(きいろ)と水色のしま模様の布製の屋根がついている。屋根の横には水色ののぼり旗(のぼりばた)がはためいていて、屋根の下には椅子とテーブルが置かれている。奥にはトタン屋根の平屋の建物と三角屋根の平屋の建物が建っている。 トタンの壁の建物の中。奥には腰高の窓とグレーの壁が見える。ピンク色のシャツを着て衛生キャップをかぶり、ゴム手袋とマスクをつけたガルジャールCEO、青い半そでシャツを着て衛生キャップをかぶり、ゴム手袋とマスクをした男性、白いシャツに紺色のスーツを着て衛生キャップをかぶり、マスクをして、クリーム色(いろ)の布製のバックを肩にかけた男性の3人が、年季の入った白い四角い箱型の装置の前で話をしている。白い箱型の装置のそばで、白い長靴と作業服、衛生キャップ、マスク、ゴム手袋を身につけた人物が、かがんで黒いケースを動かしている。

ナレーション: 原材料を購入するために、ガルジャールさんが訪れたのは、とある工場…。

映像説明: 工場内。銀色の箱から大量のシークワーサーがベルトコンベアで運ばれている。白い作業服を着てゴム手袋をつけ、衛生キャップをかぶった3人の従業員がローラーコンベアで運ばれてくるシークワーサーを選別している。

テロップ: シークワーサー

ナレーション: 生産ラインに並んでいるのは、収穫されたばかりのシークワーサー。実はここ、シークワーサーのジュース工場だ。

映像説明: 白い作業服を着てゴム手袋をした従業員が、ケースに入ったシークワーサーの搾りかすを年季の入った白い箱型の装置に入れている。箱型の装置に入れられた搾りかすをガルジャールCEOが見ている。

テロップ: シークワーサーの搾りかすが ポリマーの原材料

ナレーション: なんと、シークワーサーの搾りかすが原材料。本来なら廃棄処分される生ごみを活用しているのだ。

映像説明: ガルジャールCEOが青い服を着て衛生キャップをつけた男性から搾りかすが入ったケースを受け取り、中に入った搾りかすを手に取る。2人ともマスクをつけている。 白いケースに入った乾燥して表面が茶色くなった果物の皮。

ナレーション: ほかにも、バナナの皮やサトウキビの搾りかす、いわゆる残渣(ざんさ)なども活用している。

映像説明: 研究室のなか。白衣を着て実験用手袋とマスクをしたガルジャールCEOが、乾燥した果物の皮が入ったシャーレを、中が2段になった四角い装置の上段に置いている。

テロップ: 天然吸水性ポリマー 果物の搾りかすなど残渣から ペクチンやセルロース成分を抽出し作製

ナレーション: この残渣からペクチンやセルロースという成分を抽出。特殊な工程を経て、天然ポリマーの素(もと)を作るという。

映像説明: 緑色(みどりいろ)のシークワーサーが入ったオレンジ色(いろ)のケースが5つ置かれている。 緑色(みどりいろ)の床の工場内。四角い箱の下にローラーがついているステンレス製の装置があり、薄い水色の服を着て耳まで覆われた白い帽子をかぶり、水色のエプロンとゴム手袋をした従業員が回転するローラーから出てくるシークワーサーの搾りかすを透明のビニールをつけた黒いプラスチックケースに詰めている。奥に棚があり、ステンレス製の器などが入った水色のプラスチック製のカゴやステンレス製の筒型の入れ物が置かれている。 黄色い液体や緑色(みどりいろ)のシークワーサーが入った透明のビニール袋が黄色いプラスチックケースに入っている。

ナレーション: シークワーサー工場では、搾りかすの新たな活用方法に期待していた。

映像説明: 白い壁の部屋。緑地(みどりじ)にオレンジ色(いろ)の字で「勝山シークヮーサー(かつやまシークワーサー)」と書かれた横断幕が壁に貼られている。棚板(たないた)が斜めになった木製の棚があり、シークワーサーの商品が並べられている。紺色の服を着てシークワーサー柄のマスクをした男性がインタビューに答える。

テロップ: 勝山シークヮーサー(かつやまシークワーサー) 安村 弘充 社長

安村社長: 今年からは(搾りかすの)処分料みたいなのが出てきますね。 シークワーサー(の搾りかす)を有効利用できれば、いちばん良いな(いいな)と思っていますので、 まあ、あの、ノンケミカル(な吸水性ポリマー)みたいな形で使えるんだったらね、これが自然農法で生かしていけるんではなかろうかと。

映像説明: こげ茶色(こげちゃいろ)の壁に掲げられた、逆三角形のような形のロゴと「Beyond Next Ventures」と書かれたネオン看板。 室内。こげ茶色(こげちゃいろ)の枠があるガラスで仕切られ、白い天井は一部がくり抜かれ、銀色のダクトなどが見えている。ガラスの壁の前には木目調のテーブルと深緑色(ふかみどりいろ)の座面の椅子や観葉植物が置いてある。画面手前にグレーを基調としたクッションと、L字型のソファーが置かれている。ガラスの仕切りの奥には壁際に置かれた木目調の本棚と机があり、黒い服を着た人物が机に向かい座っている。

ナレーション: この画期的な技術に注目し、出資する日本の投資会社が複数出てきた。

映像説明: グレーのすこし凹凸のある壁で木製の扉と本棚がある部屋。白いTシャツにグレーのジャケットを着た男性が木目調の机に向かい、ノートパソコンを操作している。

ナレーション: その1つ、ヘルスケアやバイオテック分野の投資に力を入れている企業は、投資した理由について…。

映像説明: グレーのすこし凹凸のある壁の部屋。画面に逆三角形のような形のロゴと「Beyond Next Ventures」「MISSION」などの白い文字が表示された青いモニターがあり、モニターの右側座る白いTシャツにグレーのジャケットを着た男性がインタビューに答える。

テロップ: Beyond Next Ventures Investment Group 有馬 暁澄(ありま あきと) マネージャー

有馬マネージャー: 魔法のような技術であると。 食品残渣からポリマーを生成して、それをさらに農業分野に現在生かしているというところで、 あの、ぜひそういったナラヤンさんの技術、思いに対して、われわれも一緒の船に乗りたいというところで投資をさせていただきました。

映像説明: 薄曇りの空の下。道路の右側にビニールハウスが数棟建っていて、左側には植木が植えられている。ビニールハウスの前にはオレンジ色(いろ)の貯水タンクが置かれている。奥には林があり、橋などが見える。 広いビニールハウスの中。うねに白い防草(ぼうそう)シートが張られ、うねの中央に等間隔に開けられた穴に苗が植えられている。 水色のTシャツを着た女性が身ぶりを交えながら話をしているのを青いキャップをかぶり、水色の服を着た男性がうなずきながら聞いている。黒いTシャツを着たガルジャールCEOも一緒に話を聞いている。全員マスクを着けている。

サイドテロップ(画面右上にほぼ常時表示): 沖縄農家の実験で効果! 土(つち)に還る吸水性ポリマー

ナレーション: 県内の農家でも、吸水性ポリマーが使われ始めている。こちらは、400坪の畑を所有するトマト農家、金城さんのビニールハウス。

映像説明: ビニールハウスの中。青いキャップをかぶり、マスクをつけ、水色の服を着た男性が植物の写真と「Fasal Amrit(ファサル アムリット)」などと書かれた黒いパッケージ袋から吸水性ポリマーを黄色いバケツに流し入れている。 青いキャップをかぶり、マスクをつけ、水色の服を着た男性が黄色いバケツに入った吸水性ポリマーを、うねに張られた白い防草(ぼうそう)シートに開けられている穴にスプーンで1杯1杯まいている。

ナレーション: 今回初めて使用するが、その効果は土壌の保水効果を高めるだけではなかった。

映像説明: ビニールハウスの中。白い防草(ぼうそう)シートの上に、40個ほどのトマトの苗が入った黒いケースが置かれている。 青い帽子をかぶり、水色の服を着た男性が、うねの脇に置いたプラスチックの椅子に座り、うねに張られた白い防草(ぼうそう)シートに開けられた穴にトマトの苗を植えている。

ナレーション: 土(つち)に混ぜたポリマーは、半年ほどで分解され、土(つち)の栄養へと変わるのだという。

映像説明: 「循環型農業」と題された図。中央に「循環型農業」の文字があり、周りにはオレンジ色(いろ)の実がなった樹木、皮がむかれたオレンジ色(いろ)のミカンとむいた皮、山積みされたこげ茶色(こげちゃいろ)の吸水性ポリマーのイラストが描かれている。ミカンのむいた皮のイラストの下に「むいた皮」、山積みされたこげ茶色(こげちゃいろ)の吸水性ポリマーのイラストの下に「吸水性ポリマー」という文字が表示される。循環型農業の文字の周りを3つのイラストをつなぐように3本の赤い矢印が円を描いて回っている。

ナレーション: 農作物の残渣からできたポリマーは、土(つち)にかえり、その土(つち)で農作物が育つ、循環型農業だ。

映像説明: 青空の下。マスクをつけ、赤いTシャツを着たガルジャールCEOが背丈以上に育ったサトウキビ畑(ばたけ)の横のあぜ道を歩く。 ガルジャールCEOがメジャーを手に持ってサトウキビの根元にかがんだり、サトウキビの葉先にメジャーをあてて測定している。

ナレーション: このポリマーを使ったサトウキビ畑(ばたけ)の生育状況を調査したところ、従来の肥料を使ったものと、明らかな違いが出たという。

映像説明: サトウキビ畑(ばたけ)の前。紺色のシャツを着た男性がインタビューに答える。 サトウキビ畑(ばたけ)の中。薄茶色(うすちゃいろ)になったサトウキビの根元や風になびく緑の葉の様子。 風で葉が緩やかになびいているサトウキビ畑(ばたけ)。 サトウキビ畑(はたけ)の一角の写真。左側のサトウキビは背が低くまばらに育っていて、右側のサトウキビは背丈が高く、密集して育っている。左側に「ポリマーをまいていないと所」、右側のに「ポリマーをまいた所」というテロップが表示されている。

テロップ: ポリマーをまいていない所

テロップ: ポリマーをまいた所

映像説明: サトウキビ畑(ばたけ)の前。紺色のシャツを着た男性が話を続ける。

テロップ: 恩納村(おんなそん)赤土等(あかつちとう)流出防止対策地域協議会 恩納村(おんなそん)農業環境コーディネーター 桐野 龍 さん

桐野さん: 見た目で(ポリマーを)まいた所と、まいていない所の、この、背丈がどんどん変わっていって、 で、農家さんが、なんかこの、興味津々になるぐらい、あの、生育段階では大きな効果があって、 この、株数が全然違うっていうことがもう明らかにそれは分かりました。 で、はかってみたら、全くまかない所とまいてある所と倍近くの、この収量ですね。 (ポリマーをまいた所が)量は倍近く、あの増えてました。

映像説明: サトウキビ畑(ばたけ)。ガルジャールCEOがメジャーの先端を地面近くに置き、麦わら帽子をかぶり、黒いTシャツを着た男性がかがんでその先端を押さえてサトウキビの高さを測っている。2人ともマスクを着けている。

ナレーション: この新しい技術で生まれた製品は、温暖な沖縄だけにとどまらず、寒冷地の北海道をはじめ、全国の農地で実証実験が始まっている。

映像説明: サトウキビ畑(ばたけ)の脇の道路。オレンジ色(いろ)のタンクの給水口の上で、桐野さんが持つこし器(こしき)に、ガルジャールCEOが水色のバケツから容器を使って茶色い液体を流し入れている。2人ともマスクを着けている。 オレンジ色(いろ)のタンクの中に大量の茶色い液体が入っている。タンクの給水口には白いホースが差し込まれている。

テロップ: 液体肥料

ナレーション: さらにEF POLYMERは、農作物(のうさくぶつ)の残渣から作られた、天然由来の液体肥料も開発。

映像説明: サトウキビ畑(ばたけ)。ガルジャールCEOがホースで薄茶色(うすちゃいろ)の液体をサトウキビの根元に散布している。

ナレーション: 循環型農業をさらに後押ししている。

映像説明: 青空の下、波が打ち寄せる浜辺。奥には海が広がり、雲が浮かんでいる。 砂浜に波が打ち寄せている。

テロップ: サンゴ

映像説明: 木漏れ日が差し込む茶色い土(つち)の地面。奥には植物が生えている。 大小の石が混ざった赤茶色(あかちゃいろ)の土(つち)の地面。

テロップ: 赤土

ナレーション: 恩納村(おんなそん)では、農業以外にも、ある効果が期待されている。ここはサンゴの村として観光客に人気のエリア。しかし、畑から流れ出る赤土で海岸や海が汚れ、サンゴが死滅する危険性が叫ばれていた。

映像説明: 芝生の上。植物の写真と「Fasal Amrit(ファサル アムリット)」などと書かれた大きさの異なる黒いパッケージが3つ置かれている。

ナレーション: この吸水性ポリマーは、赤土の流出を止める可能性を秘めており、今は、その実験段階だという。

映像説明: サトウキビ畑(ばたけ)の前。紺色のシャツを着た桐野さんがインタビューに答える。

桐野さん: この表面にポリマーをまくことで、この表面の、この土(つち)を、この吸水性と、この土(つち)と、こう一体化することで、 水、あの、表面の土(つち)が流れにくくなるんじゃないかなあっていうのが、あの、実験の始まりでした。

映像説明: 雲が浮かぶ青空の下。ガルジャールCEOがトラックの荷台の上からホースで液体肥料をサトウキビ畑(ばたけ)に向けて散布している。トラックの荷台には桐野さんも乗っていて、オレンジ色(いろ)のタンクが置かれている。

ナレーション: 沖縄の農業や環境面で効果を上げ始めている天然の吸水性ポリマー。

映像説明: 倉庫のような室内。奥には白い袋が積み上げられている。グレーと白の模様の服を着た外国人男性が、はかりに載せた植物の写真と「Fasal Amrit(ファサル アムリット)」などと書かれた黒いパッケージ袋に吸水性ポリマーを流し入れている。はかりの横には、吸水性ポリマーが大量に入ったたらいが置かれている。オレンジ色(いろ)のキャップをかぶり、黒いTシャツを着た外国人男性が白い袋を手に持ちながら移動する。2人ともマスクを着けている。室内の一角には植物の写真と「Fasal Amrit(ファサル アムリット)」などと書かれた黒いパッケージが大量に置かれ、積み上げられている。

サイドテロップ(画面右上にほぼ常時表示): 沖縄から世界の課題解決へ 科学技術の発信地目指す

テロップ: インド工場での製造

映像説明: 屋外に14人ほどの人物が集まっている写真。植物の写真と「Fasal Amrit(ファサル アムリット)」などと書かれた黒いパッケージなどが置かれた机の横に紫色のチェック柄の服を着た外国人男性が立っている。机の奥にはイラストや現地の言葉で説明が書かれたボードが立てられている。椅子や白い敷物の上に13人の外国人男性が座っていて、紫色のチェック柄の服を着た外国人男性のほうを見ている。

ナレーション: ガルジャールさんの出身地、インドでも製造され、干ばつで苦しむ農村へ啓発活動が行われた。

映像説明: 大きな木の前で5人の外国人男性が写っている写真。マスクを着け紫色のチェック柄の服を着た外国人男性と口元に白い布を巻き、白い服を着た外国人男性が2人で植物の写真と「Fasal Amrit(ファサル アムリット)」などと書かれた黒いパッケージを持っている。 トウモロコシ畑(ばたけ)の前で4人の外国人男性が写っている写真。畑の奥には木々(きぎ)が生い茂り、山が見える。赤とオレンジ色(いろ)の布を頭に巻き、水色のシャツを着た外国人男性と水色のシャツを着て黒いズボンをはいた外国人男性が、それぞれ植物の写真と「Fasal Amrit(ファサル アムリット)」などと書かれた黒いパッケージを手に持っている。

テロップ: 天然吸水性ポリマー 2020年10月 インドで販売開始

ナレーション: そのかいもあり、去年10月、インド国内で販売が始まった。ガルジャールさんは、今後、世界を見据えたビジネス展開を考えている。

映像説明: 白い壁で縦型のブラインドがかかった窓がある部屋。白い台の上にはステンレス製の箱型の装置が置かれている。装置の横には植物の写真と「Fasal Amrit(ファサル アムリット)」などと書かれた黒いパッケージが2つ置かれている。薄ピンク色(いろ)の服を着たガルジャールCEOがインタビューに答える。

テロップ: EF POLYMER ナラヤン・ラル・ガルジャール CEO

ガルジャールCEO・英語: 将来は日本を拠点に、東南アジア、南アフリカなど、干ばつに苦しんでいる国へ輸出していきたい。

映像説明: 植物が植えられている畑。クリーム色(いろ)のシャツを着た男性が吸水性ポリマーを手で植物の根元にまいている。クリーム色(いろ)のシャツを着た男性の脇には、封があけられた植物の写真と「Fasal Amrit(ファサル アムリット)」などと書かれた黒いパッケージが置いてある。

ナレーション: 着実に成果を上げているEF POLYMER。

映像説明: 上空から撮影した映像。曲線の外壁の校舎や屋上に片面がアーチ形状の屋根があるグレーの校舎が数棟建っている。各棟は渡り廊下でつながっていて、校舎のまわりには木々(きぎ)が生い茂っている。敷地の奥には、オレンジ色(いろ)の屋根の建物がたくさん建っていて、その向こうには海が広がっている。

テロップ: 沖縄科学技術大学院大学

ナレーション: 大きな支えになっているのは入居する沖縄科学技術大学院大学だと、ガルジャールさんは話す。

映像説明: 白い壁で縦型のブラインドがかかった窓がある部屋。白い台の上にはステンレス製の四角い装置が置かれている。装置の横には植物の写真と「Fasal Amrit(ファサル アムリット)」などと書かれた黒いパッケージが2つ置かれている。ガルジャールCEOがインタビューに答える。 研究室。さまざまな機械の前で、赤いゴーグルをつけ、えんじ色(いろ)のTシャツを着た人物が笑顔で作業をしている。隣で赤いゴーグルをつけ、白いシャツを着た人物が笑顔でその様子を見守っている。 白い床の部屋。黒い箱型の機械がずらりと並んでいる。白や銀色、とオレンジ色(いろ)のパネルに「Data Direct」などの文字がある黒い箱型の機械の前で、黒い服を着たロングヘアの女性がノートパソコンに向かって作業している。 研究室。白衣を着た2人の女性が白い機械やたくさんの管(くだ)や配線がつながった薄いグレーの機械のそばで作業をしている。 奥に大きな窓がある部屋。棚が設置された作業台が設けられ、4人の男女がそれぞれ作業をしている。 天井と片側の壁が丸みを帯びたトンネルのような廊下。丸みを帯びた壁には写真が入れられた額縁が飾られている。反対側の垂直の壁にはスライドが映し出されている。 研究室。白いシャツを着て薄紫の実験用手袋を着けた男性が白い容器からビーカーの中に液体のようなものを注いでいる。ビーカーからは白い煙のようなものがあふれ出ている。 透明の容器がずらりと並んだ棚が何台も設置されている室内。黒と白のチェック柄の服を着た女性が棚の前で脚立に上っている。(映像提供 OIST(オイスト))

ガルジャールCEO・英語: 大学のネットワークを使い、世界の企業とつながることができるのが利点です。 さらに研究設備も充実していて、研究結果をすぐに知ることができます。

映像説明: 上空から撮影した映像。曲線の外壁の校舎や屋上に片面がアーチ形状の屋根があるグレーの校舎が数棟建っている。各棟は渡り廊下でつながっていて、校舎のまわりには木々(きぎ)が生い茂っている。奥にはオレンジ色(いろ)の屋根の建物がたくさん建っていて、その向こうに林が広がっている。 白いシャツを着た男性が、ホワイトボードに赤いペンで「delivery systems」の「systems」の文字の下に線を引いている。 研究室の一角。クリーム色(いろ)の円筒形(えんとうけい)の固形物を手に持つグレーのシャツを着て眼鏡をかけた男性と、白衣を着て眼鏡をかけた男性が笑顔で話をしている。 黒い作業台の上。透明の液体が入ったビーカーにクリーム色(いろ)の円筒形(えんとうけい)の固形物を入れると細かい泡を出しながら溶けていく。 研究室の一角。白衣を着て眼鏡をかけた男性が口に指先をあて、口から指先を放し、手を広げる。(映像提供 OIST(オイスト)) 研究室の一角。白衣を着てゴーグルをつけたガルジャールCEOが、白い円筒形(えんとうけい)の機械の中に置いたフラスコに茶色い液体を注いでいる。

テロップ: 沖縄を科学技術分野の発信地へ

ナレーション: 大学が目指すのは、沖縄県恩納村(おんなそん)を科学技術分野における世界の発信地にすること。そのため海外から独創的な技術を持つ研究者を集め、支援しているのだ。

映像説明: 縦型の白いブラインドがかかった部屋。ブラインドの前の棚には植物の写真と「Fasal Amrit(ファサル アムリット)」などと書かれた黒いパッケージが置かれていて、左側には「PRIVATE LIMITED」と表示されたモニターが置かれている。マスクを着けグレーの服を着た男性がインタビューに答える。

テロップ: 沖縄科学技術大学院大学 技術開発イノベーションセンター 吉川 弘志 さん

吉川(よしかわ)さん: 新しい、とがった技術を持つスタートアップというのが、ま、成功事例として、OIST(オイスト)(大学)発信で出ていくことによって、 優秀な人にどんどん集まってきてもらい、そしてまた成果を増やしていってですね、そういった循環というのを作っていければなというふうに考えています。

映像説明: 研究室。銀色の大きな機械などが設置されている。マスクをつけ、頭から下半身まで水色の作業服を着た男性が白い箱型の機械のモニターを見ながらキーボードを操作している。 白い服を着た女性が黒いボックスの中に置かれた銀色の機械に部品をセットしている。 研究室のような室内。黒い服を着て青いゴーグルをつけた女性が銀色の機械の部品を触り、隣で紫色のTシャツを着て青いゴーグルをつけた男性がその様子を見ている。 黒板に書かれた黄色(きいろ)の曲線の反対側にピンクのチョークで曲線を書いている。 白い机の上で薄紫(うすむらさき)の実験用手袋を着けた人物が彫刻刀(ちょうこくとう)のようなもので石の表面を削って(けずって)いる。 ガラス張りの空間に浮かぶ青い円筒形(えんとうけい)の物体が回りながら手前に向かってくる。 屋外。コンクリートブロックの前にプロペラや白い円柱形(えんちゅうけい)の装置が取り付けられた黒いフレームがつり下げられている。周りに3人ほどの人物が立っている。 白い手袋をつけ、顔の部分がネット状の防護服を着た女性が、蜂がたくさんいる巣箱の板を手に持ち、眺めている。 右手で持たれた紫色の分子構造の模型。 研究室のような室内。眼鏡をかけ、白いシャツを着て薄紫の実験用手袋をつけた男性がピペットのようなものを目線の高さにあげて眺めている。(映像提供 OIST(オイスト))

ナレーション: 沖縄を拠点に世界の課題解決へ乗り出すスタートアップ。賛同する投資会社も新たなイノベーションに期待する。

映像説明: 頭部が草花で描かれた女性の横顔のイラストを背景に、黒い服を着て眼鏡をかけた男性がインタビューに答える。

テロップ: MTG Ventures 代表パートナー 伊藤 仁成 さん

伊藤さん: 課題自体は、あの、日本(にほん)だけの課題ではなくて、世界の課題を解決していくみたいな、たてつけにはなっていると思いますので、 そこに日本(にほん)の技術が掛け合わさることによって、 グローバルの、あの課題っていうのが解決されていくような、あの流れっていうのは非常にあの美しいと思っておりますね。 そういった取り組みが、より多く、あの増えていくと、あの日本(にほん)の力も発揮できる領域なんじゃないかなと思っています。

映像説明: 黒い机の上で青い実験用手袋をつけた人物がビーカーに入ったポリマーと水を混ぜている。 青い実験用手袋をしてゴーグルをつけ、白衣を着たガルジャールCEOが水分を含んだポリマーが入ったビーカーをひっくり返しているが、ポリマーはビーカーに密着して落ちてこない。傍らには植物の写真と「Fasal Amrit(ファサル アムリット)」などと書かれた黒いパッケージが置かれている。ガルジャールCEOが笑顔でひっくり返したビーカーを元に戻す。

ナレーション: 干ばつで苦しむ農家を助けたい、という思いから開発した天然由来の吸水性ポリマー。ガルジャールさんの農業イノベーションは、まだ、始まったばかりだ。

映像説明: スタジオ。画面左側には江連(えづれ)キャスターが写り、右側にはモニターが設置されている。モニターには緑色(みどりいろ)のシークワーサーが入ったオレンジ色(いろ)のケースが5つ置かれている映像、青い実験用手袋を着けた人物が銀色の容器に乾燥して茶色くなった果物の皮を入れている映像、植物が植えられた畑でクリーム色(いろ)のシャツを着た男性が植物の写真と「Fasal Amrit(ファサル アムリット)」などと書かれた黒いパッケージ袋から吸水性ポリマーを手に取り、植物の根元にまいている映像が映し出されている。江連(えづれ)キャスターが話をする。

江連(えづれ)キャスター: 農産物を無駄にしない、循環型農業。吸水ポリマーなどの、新たな仕組みを知ることができました。環境負荷も少ない、持続可能な農業が日本や海外へ広がるといいですね。

映像説明: 薄い黄緑色(きみどりいろ)を基調としたコンピューターグラフィックスの背景画。緑を基調とした、中が空洞になった地球儀が回転している。

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