お知らせ・記者発表
ジェトロ 2022年度 日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査 ―海外ビジネスの意欲は後退。リスク耐性強化へ、模索続く―
2023年01月31日
本調査について
- ジェトロは2022年11月中旬~12月中旬、海外ビジネスに関心の高い日本企業(本社)9,377社を対象に、オンライン・郵送形式によるアンケートを実施。3,118社より有効回答を得ました(有効回答率33.3%)。
- 世界経済の減速、ゼロコロナ政策の余波、ウクライナ紛争の長期化、円安と物価高、供給制約と物流混乱など、国際ビジネスをめぐる環境は厳しさを増しています。困難な状況下で、日本企業の海外ビジネス戦略はどのように変化しているのか。調査結果に基づく最新動向を紹介します。
調査結果のポイント
- 1. 高まる世界経済の不確実性、輸出や投資の拡大意欲を削ぐ
- 2022年、約半数の企業が輸出数量の増加を達成。同減少は15%。家具・建材や紙製品、飲食料品などの業種で、海外需要の増大や円安が輸出増加を後押し。
- 今後3年間の方針では、輸出を拡大、新たに輸出を開始する企業の割合がともに減少。供給制約や調達・輸送費の増加、各国での現地調達志向の高まりが意欲を下押し。
- 海外での事業拡大意欲も過去最低の水準に低下。円安や物価高、金利上昇などの事業環境の変化、中国のゼロコロナ政策などの制約要因を受け、当面は現状維持とする企業が増加。
- 2. 物価高、円安、供給・輸送の混乱がサプライチェーンの再編を加速
- 海外事業の一部を国内へ移管、同検討中の企業は計13%。その理由に、6割の企業は「進出先のビジネスコストの増加」、製造業の4割超が「国際輸送の混乱・物流費の高騰」を指摘。
- 原材料・部品の供給不足に直面する企業は5割超。機械工業では8割超。直近1年で状況は悪化。対応策として、調達先の多角化や代替品への変更が進む。
- 円安によりマイナスの影響を受ける企業は47%。プラスの影響(16.5%)を大きく上回る。
- 3. 経営課題は持続可能なビジネスへの移行。先行する脱炭素化。
- 市場・社会の意識変化、地政学リスクなどの新たなグローバル課題に対し、7割の企業がビジネス変革の必要性を認識。SDGsに対応する社内体制と新規ビジネス構築が最重要課題に。
- 脱炭素化の取り組みは過去1年間で大きく進展。大企業の約8割は既に取り組みを実施中。
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ジェトロ海外調査部(担当:伊藤、古川、森)
Tel:03-3582-5177