お知らせ・記者発表
「ジェトロ対日投資報告2020」発行 ―新型コロナで変容する日本市場と今後の外資系企業のビジネス展開―
2020年11月25日
ジェトロは、対日投資に関する包括的な報告書「ジェトロ対日投資報告2020」をまとめましたので、そのポイントについて次のとおり発表します。
3つのポイント
1.2019年の対日直接投資額は過去2番目と堅調、2020年以降は引き続き注視が必要
- 2019年の対日直接投資額は前年比37.3%増の4.0兆円で、比較可能な2014年以降で2016年に次ぐ投資額を記録した。特に、米国やアジア主要国からの投資が増加した。
- 2019年末の対日直接投資残高は33.9兆円で、6年連続で過去最高を更新した。
- 2020年1~9月の対日直接投資額は全体で前年比増、そのうち株式資本も前年比13.6%増の6,100億円となっている。他方、グリーンフィールド投資件数は直近数年同期と比較して少なく、今後も新規投資案件数は注視が必要。
2.コロナ禍の外資系企業への影響
- ジェトロによる在日外資系企業向けアンケート調査(注)では、2020年4月ならびに7月時点で90%以上の企業が新型コロナにより負の影響を受けていると回答した。影響の具体的な内容として売上減少を挙げる企業が多く、減少した売上高の補てんには2021年上半期までの期間を要するという回答が最も多かった。
- そのような環境下、日本国内のビジネス縮小や撤退を検討する企業は1割に満たず、大半の企業が日本でのビジネスを継続すると回答した。日本市場の魅力としては、現在の市場規模や関連産業の成長性を挙げる企業が6割を超えた。
3.新型コロナを経て期待される日本市場のデジタル化の更なる加速
- 多くの企業でテレワークの導入が行われる一方で、急速な導入に伴い課題の認識も進んでおり、関連デジタルツールを提供する外資系企業のビジネス展開がみられる。
- 消費意欲の減退がみられた一方で、オンラインでの消費額の増加や、他人との接触機会を減らすためにキャッシュレス決済利用の増加もみられ、将来的な関連産業の成長が期待される。
- ジェトロはコロナ禍において、情報発信や個別支援体制の強化を行っている。2021年2月には「仙台・福島×防災・減災」や「京都・大阪・神戸×スタートアップ」のように、地域の課題や強みを取り上げつつ、関心を持つ外国企業をジェトロが招へいするイベントを予定しており、各地域への投資につなげる支援を行う。
- (注)コロナ禍におけるジェトロの外資系企業向けのアンケート調査:
- ジェトロは、支援企業を主な対象として、2020年4月ならびに同年6~7月に、新型コロナによる回答企業への影響や今後のビジネス展開についてアンケート調査を実施した。4月調査は外資系企業376社、7月調査は193社より回答を入手し、分析している。
「対日投資報告2020」は、次のウェブページよりご覧いただけます。
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ジェトロ対日投資課 (担当:長崎、臼井)
Tel:03-3582-5571