世界の見本市・展示会情報(J-messe)
世界の見本市ビジネストレンド大阪国際経済振興センター、MICE業界の再起動を目指して
第1回大阪・関西万博開催支援EXPOが2022年3月15日~16日、インテックス大阪で開催された。2025年に大阪・関西万博の開催、2029年に統合型リゾート(IR)の開業が予定されている大阪でのポストコロナを睨んだMICE業界の動向などについて、西日本最大の国際見本市会場インテックス大阪を運営する 一般財団法人 大阪国際経済振興センター 常務理事の八木 誠 氏と営業部長の近藤 秀樹 氏に伺った。
一般財団法人 大阪国際経済振興センター
常務理事 八木 誠 氏(左)
営業部長 近藤 秀樹 氏(右)
- Q1:コロナ禍を振り返って
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A1:大阪国際経済振興センターは1985年5月からインテックス大阪を運営しています。2020年は、3月から7月までの5カ月間に予定されていた86本の展示会・イベントのうち81本が中止または延期となるなど、コロナ禍の影響を大きく受けました。
2020年12月・2021年12月に開催した浙江省輸出商品(大阪)交易会ではリアルに商品を展示して、出展者はリモートで参加いただいて、来場されたバイヤーとはオンラインで商談をしていただきました。日本のバイヤーは展示会場で商品を見て、品質を確かめながら、次のブース、次のブースと複数の出展者を見比べ商談することができたので、全てをオンライン上で行うオンライン展示会とは違うとして、連日マッチングに来られていたバイヤーもいて、好評でした。 - Q2:自主企画の展示会は何本か?
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A2:2019年度までは当財団単独で浙江省輸出商品(大阪)交易会とオリーブオイル関西を開催していましたが、海外出展者の割合が高いオリーブオイル関西は2020年からコロナ禍の影響を受け開催休止となっています。2022年3月現在でも海外の方は入国制限がありますし、食品の試食試飲は難しいためです。その代わりとして2022年12月開催予定でMICE EXPO in KANSAIを立ち上げようとしていますので、単独開催は2本ですね。
2021年3月に大阪MICE安全対策推進EXPOを開催したのですが、ウィズコロナでMICEイベントを開催する際の感染症対策、安全対策に特化した展示会でした。MICE EXPO in KANSAIはアフターコロナを睨んでのMICE業界の再起動、振興を図るための展示会です。MICE業界関係者を募って、単に横横のネットワーキングだけではなく、各企業のMICE担当者に参加いただいて、商談もしていただくことを考えています。 - Q3:展示会場の運営だけではなく、自主企画の展示会も積極的に開催していくのか?
- A3:海外からもリモートで出展・参加していただくような道筋を付けようとしています。MICE EXPO in KANSAIを通じて、展示会主催者や出展者とのコネクションを太くして、ゆくゆくは催事の誘致に繋げたいと考えています。当財団は展示会場の運営団体なので、展示会主催をメインの事業とは考えていません。当財団主催のイベントを通じて、海外の主催者などとパイプを作り、海外展示会業界の時流を見極めながら、ここインテックス大阪でB to Bの展示会を開催いただけるようにしていきたいと考えています。
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インテックス大阪の外観
第1回大阪・関西万博開催支援EXPOの様子
- Q4:大阪国際経済振興センターにおける海外事業の体制?
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A4:国際部が担当しています。ただ、インテックス大阪の運営ではなく、大阪市からの受託事業で、大阪市への海外企業の誘致、経済交流、大阪市の企業と海外の企業とのマッチングなどを行っています。2022年度からは国際部を上手く活用して、インテックス大阪の運営との連携を強化したいと考えています。大阪市は世界15都市と姉妹・友好都市提携していて、大阪ビジネスパートナー都市交流協議会(Osaka Business Partner City Council、通称「BPC協議会」)を作っています。メンバーは行政機関だけではなく、商工会議所や民間団体などで構成されています。海外メンバーは展示会場を持っていますので、BPC協議会を通じて展示会場のネットワークを作れるのではないか、組織的に橋渡しをやろうというのが4月以降の予定です。
海外の展示会産業に詳しい方によると、日本は魅力のあるマーケットではあるが、以前から日本に参入している企業も上手くいっていないそうです。なぜかと言うと、海外には海外の、日本には日本の展示会の仕事の仕方があって、その両方を熟知し、しかも英語が話せる人がなかなかいません。自分達が思っていることを伝えるのが難しく、コーディネートをしてくれる人がいれば、もっと日本に参入したいという主催者もあるようです。海外の展示会に日本の出展者を連れて行くアウトバンドの支援は多いですが、その逆のインバウンドにもニーズはあると考えています。 - Q5:来場者に変化はあるか?
- A5:コロナ禍における来場者は国内の方だけで、海外の方は日本に在住している方以外はほぼ見ません。例年ですと年間で300万人くらいの来場者がいますけど、2020年度は49万人くらいでした。量は少なくなっていますが、質という面では、情報を取りに来られる方よりも商売をしようと来られる方のほうが多いように思います。主催者も細かいアテンド、VIPへの対応に力を入れている感じがしますね。長いこと来場者数という数を求めていたけれども、質でしっかり押さえて、出展者の満足度を上げて、また次に繋げようと、しんどいながらも展示会を継続されている感じです。
- Q6:オンライン展示会についてはどうお考えか?
- A6:オンラインはリアルの展示会を補完するという意味で使われているとみています。リアルの展示会のほかにオンラインもやっていますというのが多いと思います。どうしても展示会場に来られない方もいますし、リアル展示会の後でお客様をフォローするのにオンラインは活用できると皆さんが気づかれたと思います。ただ、オンラインでビジネスまで繋げられるかといえば、ネットのほうが絶対ハードルが高いはずです。本当に信用できるのか確かめる仕組みがネットにはないですよね。そこを上手く繋げていけるようになれば、ネットの世界でのビジネスも変わってくると思います。今は信頼関係を構築するのに、名刺交換をして、相手の顔、表情を見ながら判断しているのであって、例えオンライン会議室システムで顔を見れたとしても、信頼関係を構築するまでには至っていないのではないでしょうか。商品によっては、ITシステム関係などは信頼関係を構築できるのかもしれませんが、浙江省輸出商品(大阪)交易会の出展品のように、商品の色や、手触り、質感が大切な商品はちょっと向かないかもしれませんね。
- Q7:アフターコロナの展望は?
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A7:当財団は展示会場を運営していますので、展示会場を運営している方々との繋がりが強かった一方で、会議やコンベンション関係者との繋がりはちょっと弱いところがありました。まずは、MICE EXPO in KANSAIを契機に、大阪観光局の力も借りて、日本コンベンション協会(JCMA)や日本コングレス・コンベンション・ビューロー(JCCB)、あと日本政府観局(JNTO)などの協力を得ながら、国内のネットワークを徐々に広げていこうと考えています。海外についても今までのコネクションとか人的な繋がりとかを中心に広げていこうと思っています。
ヨーロッパの展示会主催者が中国で展示会をたくさん企画・開催していますが、コロナ禍でプロジェクトが途中で止まったり、予想しないトラブルが発生した時に、仕事の仕方の違いから非常に大変だったそうです。実際、日本での展示会を2021年から増やされた主催者もあります。マーケットという意味では、東京か大阪かという話ではなく、世界的に見たらアジアの中でどこかという話になるので、日本に催事を誘致する仕組みを作っていかなければいけないと思います。日本の中では、大阪は2025年に大阪・関西万博の開催と2029年にIRの開業が控えていますので、アピールできるものはあると思っています。IRの展示会場は10万平方メートルから2万平方メートルに縮小されましたが、コンベンションを中心としたMICEイベントはIRの施設で、大型の産業見本市のような展示会はインテックス大阪で、会場の規模感・スペックからもそういう棲み分けになるのではないかとみています。いずれにしろ、IRの施設とインテックス大阪は、電車でひと駅の距離ですので、連携しながら大阪ベイエリアで大型MICEに対応できればと考えています。
(市場開拓・展示事業部 主査 皆川 幸夫)
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